【栗山和暉】誰もがつまずかない透明な階段を設計する
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街を歩いていると、ふと足元の階段に意識が向くことがあります。私たちは毎日、当たり前のように段差を上り下りしていますが、その一段の高さがもし数センチ狂っていたらどうなるでしょうか。おそらく多くの人がつまずき、リズムを崩し、その階段に対して不信感を抱くはず
私が仕事を通じて実現したいのは、まさにこの誰も意識しないほど完璧な階段のような仕組み作りです。ビジネスにおけるデザインも、実はこれと同じことが言えます。多くの人は、派手な装飾をデザインだと思いがちですが、本当に優れた設計というのは、使う人がその存在すら忘れてしまうほど自然に目的を達成させてくれるものなのです。
例えば、企業のサイトを訪れたとき、迷わず欲しい情報にたどり着き、問い合わせボタンを押していた。そんな体験はありませんか。そこには一段の高さや踏み面が緻密に計算された、透明な階段が存在しています。逆にどれだけ豪華でも、次にどこへ行けばいいか分からないサイトは、一段の高さがバラバラな、危険な階段と同じです
私は多くの案件に関わりましたが、そこで学んだのは、自分の個性を主張せず、いかにして利用者の足取りを軽くするかということでした。利用者が使いやすいと感じる以前に、何も考えずに目的の場所まで動けている状態。それこそが、情報設計の究極の形であると私は確信しているのですよ。
これは仕事の進め方にも通じます。納期を確実に守り、報告を絶やさないこと。地味で当たり前のことですが、この積み重ねで、プロジェクトという階段は初めて安定します。誰かが安心して足を乗せられる場所を作る。そのために、私は今日も画面の中で調整を繰り返しています。そんな地道な姿勢こそが、私の誇りなのです。
世の中には、まだ上りにくい階段が溢れています。それを一つずつ、誰もがつまずかない滑らかな設計に作り替えていくこと。派手な手柄を立てるよりも、誰かの歩みを決して止めない最高の黒子でありたい。そんな静かな情熱を持って、私は今日も画面の向こう側の景色を整え続けています。あなたのビジネスを支える、確かな一歩を共に作り上げるために、私はこれからも歩みを止めません。