自分の中に仕事が入ってくる感覚(自己紹介1)
はじめに
私自身は大学で化学を専攻しており、その中でも無機化学(ガラス)についての研究をしていました。その専攻分野を活かすべく、精密機器メーカーに就職し、デジタルカメラや複合機(コピー機を含む)、DVDなどの光ピックアップレンズに使用されるガラス素材の開発に取り組んできました。以下、大学でのガラスとの出会いから会社でのガラス開発、長い間ガラス開発に携わって感じたことなどを書いていこうと思います。
目次
はじめに
ガラスの持つ可能性に惹かれた大学時代
会社で扱うガラスは一見シンプルなのだが…
仕事が自分の中に入ってくる感覚
ガラスの持つ可能性に惹かれた大学時代
大学では、目に見えない赤外線を緑や赤色の可視レーザーに変換するガラス(波長上方変換ガラス)についての研究をしており、ガラス組成に少量の希土類元素を入れることで実現します。「ガラスってこんな可能性があるのだ!」と材料の新たな可能性を見出す仕事を望んでいました。発光要因となる希土類元素の『含有量』と『局所構造』を調べる事で、なぜそんな現象が起こるのかを明らかにしました。波長上方変換ガラスは光ファイバーの増幅器として実用化しました。
会社で扱うガラスは一見シンプルなのだが…
入社してから取り組んだものは「一見シンプルなガラス」。それをユーザー会社の要求(スペック)に見合うように「何回も溶融試作して物性を評価する」地道な作業の繰り返しでした。大学での研究とのギャップに悩みながら取り組む日々。ここまででも大変でしたが、試行錯誤の末、候補組成(配合)が決まり、やっと提案となります。
しかし、本当の山場はこれから。実際に生産現場で溶融しレンズ形状に成型するにはまだまだ求められる事が多く、さらに製品の長期信頼性が求められるので、試作のやり直し、再評価をさらに繰り返しました。実験と量産では求められるものがやはり違いました。一つのガラス素材を開発するだけでも長期戦となりました。
ここで求められたのは周囲の従業員とのコミュニケーション、課題があっても粘り強く取り組むことだと思います。また実験だけではなく、生産現場に行って自分でレンズ試作することも重要な経験となりました。
そうして粘り強く取り組んだ結果、開発が完了し、製品化に至ったガラス素材を生み出してきました。例え製品の一部であっても、自身が開発に携わったものが市場に出ると嬉しくて、搭載されているデジタルカメラを見に行った事もありました。開発の醍醐味です。
仕事が自分の中に入ってくる感覚
長い事やっていると、はじめは自分の希望とは異なった仕事でも、それが「段々自分の中に入ってくる」という感覚が身についてきました。「一見シンプルなガラス」と言いましたが、やってみるとなかなか奥深いものでした。当時、このようなタイトルの本を持っていたのですが、紛失してしまったのか、著者や正確なタイトルは忘れてしまいました。しかし、この感覚はとても共感できました。
とはいえ、昨今は世の中の技術変化が早いものです。ひとつの道でエキスパート(熟練者)になる人もいらっしゃるでしょう。私自身は一つの技術領域だけでは対応できないので、これまで化学の知識と経験を活かしながら有機化学、無機化学、分析化学あるいは生化学など、色々な領域に取り組んできました。
別稿の転職についてにも触れていますが、技術の進歩に対応できるよう、自身も日頃から専門分野だけでなく外部にもアンテナを張り、スキル・キャリアアップ(自己研鑽)を図ることが必要だと思います。
ここまで読んでいただき、有難うございました。🍃