「あの時、感情で話し合わなくて良かった──ある家族の相続物語」
「あの時、感情で話し合わなくて良かった──ある家族の相続物語」
こんにちは。
不動産鑑定士の角田真弘(つのだ まさひろ)です。
今日は、私がこれまで携わってきた相続の中から、
“あるご家族が笑顔で相続を終えることができた物語”をご紹介します。
(個人が特定されないよう内容は再構成しています。)
■ 物語:ある兄弟の相続のはなし
東京近郊に、築40年の二階建ての一軒家がありました。
そこには、親子4人の暮らしの思い出が詰まっていました。
お父さまが亡くなったあと、残されたのはお母さまと、離れて暮らす二人の兄妹。
やがてお母さまも他界され、相続の話し合いが始まりました。
ーー最初の話合いは、静かな火花が散るところからでした。
長男のAさんは言いました。
「俺が実家を継ぐ。住んでいたんだから、その権利はあるだろ」
妹のBさんは静かに返します。
「でも、お兄ちゃんが住んでいたのは、自分の意思でしょ。私だって思い入れはあるよ」
最初は穏やかだった声が、次第にお互いを守る“鎧”をまとい始めました。
「売って半分に分ければいいじゃない」
「簡単に売るなんて、親不孝だ」
二人は、互いの主張の正しさを証明しようとするようになっていきました。
■ 行き詰まりを生んだもの
争いの原因は、実はただ一つでした。
“家の価値が、いくらなのか誰も知らなかった”
だから
・高いのか、安いのか
・売るべきか、残すべきか
・公平とは何か
が見えないまま、感情だけがぶつかり合っていたのです。
■ 変化のきっかけ
Bさんが、ある日こう言いました。
「……一度、専門家に間に入ってもらわない?
私たちだけだと、親の家が“争いの象徴”になってしまう気がする」
そこでご相談をいただきました。
私はまず、お二人の気持ちをじっくり聞きました。
不動産鑑定は、“数字”を出す仕事ですが、私は数字の裏にある想いを大切にしています。
現地調査をし、評価をまとめ、中立的な価格をご提示しました。
さらに、価格に基づく選択肢を複数ご用意しました。
選択肢例
売却する場合
想定売却額/手取り/分配方法
買取の場合
AさんがBさんの持分を買う場合の具体的金額
共有継続案
リスクと今後の費用負担の見える化
“どの選択が良い”ではなく、“それぞれの結果がどうなるか”を見える化したのです。
■ 一枚の鑑定書がもたらしたもの
鑑定結果を前に、Aさんは静かに言いました。
「……数字で見ると、冷静になれるな」
Bさんもうなずきました。
「選択肢が見えると、私たち、ちゃんと話せるね」
その日の話し合いは、わずか数時間でまとまりました。
二人は最後、こう言って笑いました。
「親が残してくれた家が、私たちをバラバラにするなんて嫌だった。」
「ちゃんと向き合えて、良かったね。」
💡 コラム:相続が“揉め事”になるか“感謝のバトン”になるか
私は多くの相続を見てきて、はっきり感じています。
相続がうまくいくかどうかは、
家族の仲の良さでは決まりません。
決めるのは、たった一つ。
✅ 感情の前に、事実を置けるかどうか。
・想いだけで語る相続 → 揉める
・事実(価値)を基準に話す相続 → まとまる
不動産の“正しい価値”を知ることは、家族を守るための最初の一歩なのです。
✨結びに
相続は、悲しみの中で行う、慣れない決断の連続です。
迷うのは当たり前です。
もし、話し合いが苦しくなったら──
“数字”が、家族の心を救うことがあることを思い出してください。
不動産の価値を知ることで、
相続が「争い」ではなく、親からの想いを受け継ぐ時間に変わります。
相続で不安を抱えていましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
お話を整理するところから、一緒にお手伝いします。