★ARTデータ解析で悩む「出産データの欠損」について。
不妊治療クリニックでは産院を併設していない施設が多く、妊娠後は胎児がある程度成長した段階で「卒業」として他院へ紹介されることが一般的です。
そのため、卒業後の転帰は紹介先からの報告や患者様自身からの連絡に依存しますが、実臨床では一定数の未報告(フォローアップ不能例)が生じます。
このような状況で出産率を評価する際、欠損データをどう扱うかは重要な課題です。
一般的には、以下の3つの方法が用いられます:
① Complete case
→ 出産が確認できた症例のみ解析
② Worst case
→ 不明例はすべて「出産なし」と仮定
③ Best case
→ 不明例はすべて「出産あり」と仮定
体外受精の保険適用において年齢による回数制限が設けられていますが、その根拠となる論文は②と③の両方のデータを提示しています。おもしろいですね。
今回、私は学会発表データとして①(complete case)を採用しました。
ARTの現場では避けられない問題ですが、欠損データの扱い次第で結論が変わり得るため、慎重な解釈が求められますね。