【増汐義信】雨の滴が示した、プロジェクトの思わぬ突破口
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先日、クライアント向けの提案資料を作成している最中に、窓の外で雨粒がガラスに落ちる様子をぼんやり眺めていた。規則正しく落ちる滴、たまに弾けて散る水しぶき、その微細な変化に目を奪われているうちに、頭の中で固まっていた考えが少しずつほどけていくのを感じた。
普段、プロジェクトでは計画や要件定義をきっちり組み立てることが求められる。しかし、雨粒のように偶然や変化を観察することで、思考に柔軟性をもたらすことができる。滴が弾ける瞬間の不規則さを眺めていると、固執していた案を少し変えてみると意外な解決策が見えてくるような感覚があった。
その後、資料作成に戻り、頭に浮かんだ新しいアイデアを整理し始めると、今まで悩んでいた部分が自然に解決され、クライアントへの提案の方向性も明確になった。雨の滴が示すランダムな変化に目を向けたことが、思考の停滞を打破するきっかけになったのだ。
さらに考えを広げると、この感覚はチームでの作業にも応用できる。会議中に意見が詰まったとき、少し視点をずらして小さな変化や偶然を観察するだけで、緊張感が和らぎ、新しい発想が生まれやすくなる。自然の中に存在する不規則さや小さな揺らぎが、プロジェクトの突破口になることがあるのだと実感した。
結局、雨粒はただの水ではなく、思考のリセットボタンのような存在だった。固定観念にとらわれず、少しだけ視点を変えてみることで、停滞していたアイデアが自然に動き出す。今日もまた、プロジェクトで行き詰まったときには、窓の外の小さな変化に目を向け、そこから思考を解きほぐしてみようと思う。日常の中に潜む小さな偶然が、意外な突破口を教えてくれるのだから。