【中原優介】コードを書く前に踊った日
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先日、久しぶりに開発環境の前に座る前に、思い切って部屋の真ん中で踊ってみた。いや、踊ると言っても本格的なものではなく、ただリズムに合わせて体を揺らし、手を広げ、少し奇妙な自己表現をしただけだ。普段はデスクに向かい、PHPやRubyのコードを書き、AWSの設定やデータベースのチューニングに集中している。だけどその日は、なんとなく頭を柔らかくして、いつもとは違う角度から考えてみたくなった。
踊っているうちに、頭の中に開発中のプロジェクトのイメージが次々に浮かんできた。要件定義の曖昧な部分や、フロントエンドのUIの小さな改善点まで、まるで体の動きとともにアイデアが流れ込んでくるようだった。ふと気づくと、踊ったことでリズムや視点が変わり、タスクの優先順位や設計の方針までスムーズに整理されていた。体を動かすだけで、頭もこんなに軽やかになるのかと、自分でも驚いた。
その後、実際にコードを書き始めると、先ほどのアイデアが自然に手に馴染むように形になっていく。普段の開発では、どうしても画面や仕様書ばかりに目が行き、思考が硬直しがちだ。だけど踊ることで、頭の中の回路がリセットされ、新しい発想が入りやすくなる。これは単なる運動ではなく、開発における“思考の体操”なのかもしれないと思った。
仕事としての開発だけでなく、スタートアップの初期フェーズでは柔軟な発想やスピード感が求められる。限られた時間でプロダクトを形にするためには、頭を柔らかく保ち、誰も気づかない改善点に目を向けることが大切だ。踊った日の小さな実験は、日常に潜む偶発的な発見の価値を教えてくれた。今日もまた、コードを書く前に短いダンスで自分の頭をほぐしてみようと思う。予想もしなかったアイデアが、次の行に現れるかもしれないのだから。