🏢 第5章:住まいと人 — 建物の数だけ気配がある
🏢 第5章:住まいと人 — 建物の数だけ気配がある
夕方、マンションの高層階の窓がぽつぽつと灯り始める瞬間。
あれを見ると、
「ここに何十通りもの生活があるんだな」と静かに感動してしまう。
戸建てには戸建ての音がある。
郵便屋さんの足音、風で揺れる窓枠の音、食器のかすかな触れ合い。
土地には土地の匂いがある。
雨のあとの土の香りや、風が抜ける方向、影の落ち方。
宅建の勉強をしているとどうしても“物件を数字で見る”癖がつくけれど、
僕はずっと、
建物そのものが生きているように感じる。
だから、不動産屋になるときも
「間取り」「面積」「築年数」だけでなく、
その家に流れる“気配”まで紹介できる人になりたい。