第4回:物件写真の撮り方で分かったこと
第4回:物件写真の撮り方で分かったこと
不動産屋の仕事の中で、意外と奥が深いと感じているのが 「物件写真の撮影」 です。
バイトを始める前は、部屋をパシャっと撮れば終わりだと思っていました。
でも、実際にやってみると、写真一枚の印象で“住みたい”が左右されることを知りました。
今日は、僕が物件を撮りながら気づいた「写真に宿る小さな視点」を綴ってみます。
■ 光の入り方ひとつで、部屋の表情が変わる
ある日、午前中と午後で同じ部屋を撮り比べたことがあります。
午前はやわらかな光が差し込み、部屋がほっとする表情に。
一方、午後は少し強い光で、メリハリのある雰囲気に。
同じ部屋なのに、別の顔を見たようでした。
店長が言った言葉が印象に残っています。
「写真は“そこに暮らす時間”も切り取るんや。
朝の光が似合う部屋もあれば、夕方に輝く部屋もある」
ただの記録ではなく、
そこでどんな一日が始まり、どんな夜が訪れるかを映すものなんだと気づきました。
■ “生活の目線”で撮ると伝わるものが変わる
最初は部屋全体を広く見せようと、引きで撮ることばかり考えていました。
でも、店長からこんなアドバイスをもらいました。
「住む人が“使う場所”に目線を合わせてあげるとええよ」
それからは、
・キッチンの作業スペースはどれくらい?
・洗面台の横に物は置けそう?
・窓から見える景色はどんな感じ?
そんな“暮らしの視点”で撮るよう意識するようになりました。
すると、写真の中に少し温度が宿った気がしたんです。
■ 余計なものが映り込まないように
これは自分の失敗から学んだことですが…
指や影、スリッパ、バッグが写り込むと、途端に生活感が強く出すぎてしまいます。
部屋の魅力を邪魔しないよう、
撮る前にそっと整えてあげる。
それはまるで、
誰かを家に招く前に部屋を整える気持ちに似ていると思いました。
■ 写真は“出会いの最初の一歩”
物件探しをする人にとって、写真はその部屋との最初の出会い。
「ちょっと見てみたいな」
と思ってもらえるかどうかが決まる大事な瞬間です。
撮影をするようになってから、
写真の向こうに“これから暮らす誰か”の存在を想像するようになりました。
それは、カメラ越しにそっと未来を覗いているような感覚です。
今日の学び:
写真は空間ではなく、“そこに流れる時間”を写すもの。