【福本潤・元医師】圧倒的な量が質に転化する話
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元医師のエンジニア、福本潤です!
「まずは量からだよ」
そう言われたことがある人は多いと思う。仕事でも、勉強でも、趣味でも。最初から完璧を目指すのではなく、とにかく“やること”が重要なのだと。
でも、正直に言えば、昔の自分はこの言葉をどこかで軽視していた。
「質が大事でしょ」「効率よくやった方がいいに決まってる」
そう思っていたし、量をこなすことが無駄に感じることさえあった。
だけど、今になってわかる。「圧倒的な量の先にしか、本当の“質”は存在しない」
この言葉は、ただの精神論ではなく、極めて本質的な事実だということを。
なぜ量が必要なのか?
量をこなす最大の理由は、「迷いが減る」からだ。
初期段階では、何をどうすれば良いのかわからない。経験がないから、判断基準が持てない。だからこそ、仮説を立て、実行し、失敗し、修正する。その繰り返しが必要になる。
たとえば、文章を書く仕事。
1本目よりも10本目、10本目よりも50本目の方が、確実に早く・上手く・伝わるようになる。構成も、語彙も、リズムも、自然と整ってくる。それは「考え抜いたから」ではなく、「数をこなしてきたから」なのだ。
量は、脳を鍛えるトレーニング
ある種、量をこなすことは筋トレと同じ。
やればやるほど“脳の筋肉”が強くなる。繰り返すことで、思考の回路が太く、速く、無駄なくなっていく。初めてのときには30分かかっていたことが、10分で終わるようになる。これは“質”が高まった証拠であり、それを生み出したのは“量”なのだ。
また、量をこなすことで、自分のクセや傾向も見えてくる。「自分はここでいつも詰まる」「このパターンが得意だ」そんな気づきが、次の成長を後押ししてくれる。
「質」だけを求めると遠回りになる
一方で、最初から「質」ばかりを意識しすぎると、完璧主義に陥る。
「もっと良くできるはずだ」と手が止まり、「これは出せない」と成果物が溜まる。結果的に、行動量が減り、経験値も上がらない。
最初から上手くやろうとする人ほど、伸び悩むのはこのためだ。
未完成でもいい。下手でもいい。まずは量。それが「質への最短ルート」になる。
量が自信に変わる
もう一つ、量を積むことで得られるものがある。それは「自信」だ。
何十本、何百回とこなした経験は、確かな自信になる。技術的な上達はもちろん、「自分はやってきた」という感覚が、プレッシャーや不安を跳ねのけてくれる。
自信があれば、さらに挑戦できる。そして、その挑戦の量が、さらなる質を生む。こうして、正のスパイラルに入っていく。
おわりに
量をこなすことは、面倒だし、しんどい。
でも、その「しんどさ」こそが、後の自分をつくる土台になる。
焦らなくていい。地道に、圧倒的な量をこなしていこう。
そうすれば、ある日ふと、自分の“質”が変わっていることに気づくだろう。
そしてそれは、他人から見ても「圧倒的に変わった」と映る瞬間だ。
「量は、裏切らない」
今はそう、胸を張って言えるようになった。