🔧 北海道の気候と家づくり(第2回)
🔧 北海道の気候と家づくり(第2回)
断熱と気密 ― 北海道の“暖かい家”をつくる技術
――数字よりも大切な“体感のあたたかさ”――
こんにちは。川端工務店の川端光露です。
「北海道の家づくりといえば、断熱と気密ですよね」
打ち合わせでそう言われることがよくあります。
確かにその通りです。ただ、**大切なのは“数字”よりも“感覚”**なんです。
カタログの性能値を並べても、そこに住む人が「寒い」と感じたら意味がありません。
逆に、性能の数値がそれほど高くなくても、「なんだかこの家、やわらかい暖かさがあるね」と感じてもらえたら、それこそが理想の家づくりだと思っています。
■ 断熱と気密は“兄弟みたいな関係”
まず知っておいていただきたいのは、
断熱と気密はセットで考えるものだということ。
断熱が「外の寒さを防ぐ壁の厚み」だとしたら、
気密は「その壁にすき間がないかどうか」です。
どんなに良い断熱材を入れても、
気密が甘いとそこから冷気が入り込み、せっかくの性能が台無しになります。
逆に、気密ばかりにこだわって断熱が不足すれば、結露の原因になります。
つまり、
“断熱”が「温もりを保つ力」
“気密”が「その温もりを逃がさない力」
この2つがバランスよく働いてこそ、本当に暖かい家になるのです。
■ 現場で大事にしている「目に見えない手間」
断熱や気密は、完成してしまえば見えなくなってしまう部分。
でも、家の暖かさはまさにその“見えない部分”に支えられています。
川端工務店では、現場でこんなことを心がけています。
- 断熱材を隙間なく詰めるために、小さな角や柱まわりも一枚ずつカットして調整する。
- 気密テープを貼るときは、温度と湿度を見て、粘着が安定するタイミングで施工する。
- 壁の中の空気の流れを考え、コンセントや配線穴からの漏気を防ぐ。
こうした一手間が、数値には表れませんが、住み心地に直結します。
川端より
「“家は現場でつくられる”という当たり前を、私は一番大事にしています。
たとえ見えなくなっても、心の中で“ここはきっと喜ばれるな”と思いながら手を動かしています。」
■ 暖かさを感じる「体感温度」という考え方
同じ20℃でも、暖かく感じる家とそうでない家があります。
それは“体感温度”の違いです。
壁や床、天井の表面温度が低いと、
部屋全体が冷たく感じてしまいます。
たとえ空気が20℃あっても、
壁が15℃だと体はその差を感じ取るのです。
私たちが目指すのは、空気だけでなく“空間全体が暖かい”家。
断熱と気密の施工をしっかり行うことで、壁や床の温度も安定し、
「包まれるようなあたたかさ」が生まれます。
■ メンテナンスしながら“育つ性能”
断熱や気密は、一度建てたら終わりではありません。
実は、年数を重ねながら育てていく性能でもあります。
例えば、
- 換気システムのフィルターを定期的に清掃する。
- サッシのパッキンを点検し、すき間が出ていないか確認する。
- 気密性能を保つため、内装のリフォーム時にも構造をチェックする。
これらを続けていくことで、家は10年、20年先も変わらず快適に暮らせます。
「建てた後の関係」を大事にしているのも、そうした理由です。
■ 数字ではなく、暮らしで感じる“あたたかさ”
省エネ基準や性能値は、家づくりのひとつの目安になります。
でも、本当に大事なのは、毎日の暮らしの中で“心地いい”と感じられること。
お客様から、
「朝、ストーブをつけなくても寒くないんです」
「外の風の音がしても、家の中が静かで落ち着きます」
そんな言葉をいただくたびに、
数字では測れない“あたたかさ”が確かにあるのだと感じます。
川端光露より
「北海道の家づくりは、技術であり、文化でもあります。
人の手で、心で、あたたかさをつくっていく――
それが私たちの誇りです。」