地域プロジェクトを試作して見えたこと 1人では作れない、地域×ITのリアル
「地域のために何かしたい」と言いながら、何もできていない自分に気づいたことはありますか?
私は、その違和感をきっかけに一行のコードを書きはじめた。
「地方創生」という言葉をよく耳にするようになった。
けれど、それが実際に何を意味するのか、どんな形で自分が関われるのか、正直なところピンときていなかった。
北海道札幌市出身の自分が、再び地元に目を向けるようになったのは、東京で働く中で感じた“距離”のせいだったと思う。
人と土地のつながりが薄れていく感覚を抱えながら、「ITで地域を少しでも見える化できないか」と考えた。
そうして作りはじめたのが、地域情報を地図上に可視化するWebアプリだった。
最初は、技術的な挑戦として純粋に楽しかった。
HTMLやJavaScript、Google Maps APIを使い、イベントや支援制度、拠点情報を地図上で表示させていく。
けれど、作り進めるうちに、すぐに気づいた。
**「誰のためのアプリなのか」**を自分一人では決められないということに。
地域の課題は、技術だけでは解けない。
むしろ、人との関係の中にこそ解決のヒントがある。
1人で画面に向かっているだけでは、見えないことばかりだった。
もう一つ、想像以上だったのがコストの現実だ。
作ることよりも、動かし続けることにお金がかかる。
データ更新、運営体制、UI改善。
これらを継続していくには、行政や企業、地域の支援が欠かせないと痛感した。
そんな中、自分のプロジェクトに興味を持ってくれた友人と飲みに行ったときに、印象的な話をした。
「地域の人に近すぎても、商業色が強すぎてもダメなんだよね」
たしかにその通りだった。
地域の魅力を伝えるには、関わる“距離感”が大切で、そこに正解はない。
技術でも、マーケティングでもなく、対話の積み重ねこそが軸になるのだと感じた。
もう一つ見えてきたのは、「移住」という言葉の重さだ。
生活がギリギリの人にとって、移住は夢ではなくリスクに近い。
むしろ最初は、時間やお金に余裕のある層——たとえばリタイア後の人たち——が興味を持ち、地域に関わるきっかけをつくる方が現実的なのかもしれない。
その流れができてはじめて、若い世代にも波及していくのだろう。
さらに話を進めるうちに、「働きやすさ」だけでは人は動かないことにも気づいた。
キャンプや釣り、地域の祭り、地元のスポーツなど——
“楽しみ”や“余白”があることが、移住を考える人の心を動かす。
リモートで完結できる仕事環境よりも、「この土地で生きたい」と思える瞬間こそが大事だ。
今回の試作を通して学んだのは、コードを書くことも、地域と向き合うことも“対話”であるということ。
一人ではできない。だからこそ、関わり合いの中で育てていくしかない。
まだ小さなプロジェクトだけれど、
この経験が、地域と誰かをつなぐ“はじめの一歩”になればいいと思っている
「地域を変える」ではなく、「地域と一緒に変わっていく」。
それが、僕の“地方創生×IT”の答えです。地域を見つめることは、結局、自分の生き方を見つめることだった。
技術で地域を照らすのではなく、地域に灯をともす——そんな仕事をしていきたい。