建築士として日々心がけていること
建築士として日々心がけていること
──向井聡一・一級建築士の仕事日記
建築の仕事に携わって20年近くになります。
独立してからは、お客様と直接向き合う機会が増えました。その中で、私が日々の実務で何より大切にしているのは「建物をつくる前に、人の暮らしをつくる」という視点です。
1. 図面よりも、まず「声」に耳を傾ける
建築の計画は図面から始まるように見えますが、実際はお客様の声から始まります。
家族構成、生活リズム、好きな時間帯、落ち着く色、将来の暮らし方──
そうした細やかな聞き取りが、最終的に建物の快適さを決めます。
「図面を描く前の対話」を大事にすることは、私にとって設計の基本です。
2. “使いやすさ”は美しさにつながる
建築はデザインと機能の両立が求められます。
私は、使いやすさはデザインの一部と考えています。
動線が自然で、無駄がなく、家事や仕事がスムーズに進む。
その「暮らしの流れ」を整えることが、結果として美しさにもつながります。
派手さではなく、静かに寄り添う設計を心がけています。
3. 10年後・20年後の姿を想像する
建物は完成した瞬間がゴールではなく、そこから本当の役割が始まります。
だからこそ、私は未来に残る建築であるかをいつも考えます。
・メンテナンスのしやすさ
・素材の耐久性
・ライフスタイルの変化への対応力
・地域環境への調和
特に自営の立場だからこそ、建てた後も責任を持てる設計をしたいと思っています。
4. 現場に足を運ぶ
どんなにデジタルが進んでも、最も大切なのは現場の空気です。
光の入り方、風の抜け方、職人さんたちの動き。
図面ではわからない細部は、現場に行くことでしか見えてきません。
「現場に通う建築士」であることは、私自身のこだわりです。
5. 建物が“地域の一部”になることを願って
住宅でも店舗でも、建物はその地域の風景をつくる存在になります。
だから私は、地域の文化や街並みに調和する建築を大切にしています。
建築士として仕事を続ける理由は、とてもシンプルです。
「人が気持ちよく暮らせる空間を、誠実につくりたい」。
その想いが、これからも変わることはありません。