東京で長年勤めた出版社を辞め、熊本にUターンした。
仕事は好きだったが、40代のうちに思い切って新しいことにチャレンジしたいと思い、退職を決意した。
ちょうど知り合いが経営する会社が人を探しており、そこで働かせてもらうことになったのだ。
まだ迷っていたとき、私の背中を押したのは「迷ったら変化の大きいほうを選ぶ」という、当時お世話になっていた人の言葉だった。
その会社は民泊の運営管理をしている会社で、掃除以外は何でもやった。
予約サイトや施設に設置するハウスガイド、掲示物の作成、宿泊客の問い合わせやクレーム対応、施設の開業支援、オーナーへのアドバイスや提案など、仕事内容は多岐にわたる。
海外からの問い合わせも多いので、英語力は重宝された。
しかし次第にまた編集に戻りたいと思うようになる。
「これを本にしたら面白いかも」「これは小説のネタになるのでは?」と、企画にすることばかり考えてしまうのだ。
49歳でもう一度出版社に戻ることは並大抵のことではない。
地元にUターンするとき、もう編集の仕事には戻れないだろうと思っていた。
だから悔いがないよう、全力で働いた。
地元の会社の人からは「東京でいいお給料をもらっていたのに辞めるなんてもったいない」「なぜ地元でも同じ業種を探さなかったのか」などいろいろ詮索された。
自分なりに覚悟を決めて選んだ道だっただけに、そんな言葉に複雑な気持ちになることもあった。
振り返れば、その頃からもう一度編集の仕事がしたいという思いが、少しずつ強くなっていたのだと思う。
2年間ブランクがあったので、職務経歴書にはこれまで積み重ねてきた経験をできる限り詰め込み、いまの会社に応募した。
ありがたいことに採用していただき、入社初日から著者校の赤字消しを任されるなど、経験を信頼して仕事を任せてもらえたことが嬉しかった。
収入は以前より大きく変わった。それでも、東京時代にお世話になったまた別の方から「これからは好きなことをしたほうがいい」とアドバイスをもらい、この道を選んでよかったと思っている。
いまは毎日文字を追い、本づくりに向き合う日々だ。
これまで培ってきた経験を活かしながら、新しい知識や価値観にも触れたいと思い、Wantedlyに登録した。
仕事や人との出会いを通じて、新しい変化につながるご縁が生まれたら嬉しい。