いくつかの恋と、ひとつも告白しなかった僕
小学生のころ、僕は女の子とよく遊んでいた。
近所には一つ下の女の子が二人いて、放課後になると自然に集まっていた。
途中で転校してきた子も加わり、三人と僕で遊ぶこともあった。
もっと前、団地に住んでいた頃には、隣の部屋の子と遊んでいた記憶もある。
今思えば、子ども特有の無邪気さで、意味もわからず騒いでいた時間だった。
大人になった今では、ただ「そんな時代もあったな」と、少し照れくさい気持ちで振り返るだけだ。
小学生時代は本当に多くの女の子と一緒に過ごしていた。
特別に何かがあったわけじゃない。ただ、同じ場所で、同じ時間を共有していた。
今思えば、少しは“モテていた”のかもしれない。
……そう思わせてくれるくらいには、楽しい思い出だった。
中学生になると、状況は変わった。
思春期に入り、感情の扱いがうまくできなくなり、自然と女の子から距離ができていった。
怒りっぽくなっていた自分も、原因の一つだったと思う。
中学一年の冬、忘れられない出来事がある。
クリスマスに「遊ぼう」と誘われた。
最初は何人かで、という話だったはずが、気づけば二人きりになっていた。
遊園地で並んだこと、どんな乗り物だったかはもう思い出せない。
ただ、はしゃいでいた自分と、隣にいた彼女の存在だけが、記憶に残っている。
帰りに撮ったプリクラ。
その時は気づかなかったけれど、後になって思う。
――あの子は、僕のことを好きだったんだ。
小学生のころから知っていた女の子たちと、偶然同じクラスになることもあった。
一緒に遊んでいたかどうかは、もう曖昧だ。
でも、教室にいるだけで、少し安心する存在だった。
学年が上がると、新しく好きな子ができた。
話すだけで緊張して、近くにいるだけで胸がざわついた。
フォークダンスで手を取った瞬間は、今でもはっきり覚えている。
あの数分間は、間違いなく宝物だった。
二年生のころ、校庭にいると、上級生の女子たちから名前を呼ばれたことがある。
自分が知らないところで知られていることに、驚きと恥ずかしさで、思わず校舎に逃げ込んだ。
三年生になっても、似たようなことは続いた。
そしてその好きだった子とは、再び同じクラスになった。
ある日、彼女が用事で教室に来たとき、席を譲らせたことがある。
小さなことだけど、守りたかったのだと思う。
卒業後、別のバス停から手を振ってくれた姿が、最後の記憶だ。
その頃、僕は視力が落ちていて、はっきりとは見えなかった。
それが、少しだけ心残りになっている。
告白は一度もできなかった。
好きな人は、何人もいた。
でも、言葉にはしなかった。
今、彼女たちがどこで、どんな人生を歩んでいるかは知らない。
ただ、どこかで笑っていてくれたら、それでいい。
名前を呼ばなかった恋たちは、
今も静かに、僕の中に残っている。