夏になると、僕にはどうしても無性にやりたくなる、ちょっと変わった行動があります。それは、**「知らない街の路地裏をひたすら歩き回ること」**です。
普段の仕事は、デスクに座ってPCとにらめっこしたり、オンラインでクライアントと打ち合わせをしたりと、どちらかというとデジタルな世界にいることが多い僕。データ分析や戦略立案に頭をフル回転させ、論理的に物事を組み立てていくのが得意です。そんな僕が、なぜわざわざ暑い中、地図も見ずに路地裏に分け入っていくのか。自分でも少し不思議に思うのですが、そこには僕のマーケターとしての仕事にも通じる、ある種のヒントが隠されている気がしているんです。
「解像度」を上げる路地裏の旅
僕が路地裏を歩く時、意識しているのは「解像度」を上げることです。例えば、大きな通りに面したお店は、誰でも知っている情報です。でも、一本裏に入った路地裏には、ひっそりと佇む小さなカフェや、昔ながらの銭湯、ユニークな雑貨屋さんなど、「知る人ぞ知る」情報がゴロゴロ転がっています。
これらの場所は、看板も控えめだったり、入り口が分かりにくかったりします。でも、一歩足を踏み入れると、そこにはそのお店ならではのこだわりや、オーナーの想いがぎゅっと詰まっている。これは、僕がWebマーケティングで取り組んでいることと、とても似ていると感じます。
クライアントのサービスやプロダクトも、パッと見では気づかないような魅力や、ターゲット層に深く刺さるであろう「隠れた価値」が必ず存在します。僕の仕事は、その「隠れた価値」を路地裏の宝探しのように見つけ出し、それを最適な方法で世の中に届けること。路地裏散策は、まさにその訓練になっているんです。
予測不能な「発見」の面白さ
路地裏の魅力は、何が飛び出してくるかわからない予測不能な面白さにもあります。曲がり角の先に、突然現れる美しい壁画があったり、懐かしい香りのする駄菓子屋さんを見つけたり。Googleマップで検索しても出てこないような、その土地ならではの文化や人々の暮らしが垣間見える瞬間が、たまらなく好きなんです。
これは、マーケティングにおける「ユーザーインサイトの発見」に似ています。データからは見えない、ユーザーの深層心理や、彼らが本当に求めているものは何か。路地裏の散策で得られるような、予期せぬ「発見」が、時に画期的なマーケティング戦略のヒントになることがあります。
例えば、ある飲食店のWebプロモーションを考える際、データだけでは「美味しさ」を前面に出すべきと結論づけられがちです。しかし、実際にそのお店の常連客と話したり、お店の雰囲気から感じ取れる「居心地の良さ」や「店主の人柄」といった路地裏的な魅力に気づくことで、より心に響くメッセージを発信できることがあります。
視点を変えることの重要性
この「路地裏散策」を通して、僕は常に「視点を変えること」の重要性を再認識しています。大きな通りから一本入るだけで、全く異なる景色が見えてくるように、ビジネスにおいても一歩引いた視点や、常識にとらわれない視点を持つことが、新しい価値創造に繋がると信じています。
夏の間、僕はきっとまたどこかの路地裏をさまよっているでしょう。それは単なる気晴らしではなく、僕自身のマーケターとしての「感性」を磨き、次に訪れるプロジェクトへのインスピレーションを得るための、大切な時間なのかもしれません。