剣道と武士道 ── 現代に生きる日本の心
石川県で剣道と共に歩んで20年。
稽古のたびに思うのは、剣道が単なる武道ではなく「武士道の精神」を現代に受け継ぐ道だということです。
そこには、私たちが日々の暮らしや仕事に生かせる普遍の指針があります。
義 ── 正しさを貫く心
武士道の中心にあるのは「義」、すなわち正しさを貫く精神です。
剣道においても、勝ち負けよりも「正しい打突」「正しい姿勢」が何より重んじられます。
それは人生において「損得」より「正義」を選ぶ勇気に通じるのです。
勇 ── 恐れを超える力
剣道の試合で最も大きな敵は、相手ではなく「自分の恐れ」です。
一歩を踏み出す勇気がなければ、勝機は生まれません。
武士道における「勇」も同じ。恐れを乗り越え、行動する力こそ、人を成長させます。
礼 ── 敬意が人を結ぶ
武士道の「礼」は、ただの作法ではなく「相手への敬意」の象徴。
剣道において礼を欠けば、いくら強くても評価されません。
人生でも同じです。礼をもって人と接することで、信頼と絆が築かれます。
誠 ── 言行一致の姿勢
「誠」とは、言葉と行いを一致させること。
剣道の場では、虚勢も偽りも通用しません。竹刀を交わすと、心の有り様がすべて表れます。
これは社会においても同じであり、誠実さこそが人の評価を決めるのです。
忍 ── 苦を耐え、心を磨く
稽古は単調で苦しいことの繰り返しです。
しかし、その「忍」の時間を経てこそ、技も心も深まります。
武士道における「忍」は、困難を耐え、己を律する力。
人生の荒波を越えるために欠かせない徳なのです。
終わりに
剣道は、武士道の精神を現代に伝える「生きた哲学」です。
義を守り、勇を奮い、礼を尽くし、誠を貫き、忍を重ねる。
この姿勢は、時代を超えて私たちの人生を導きます。
石川の稽古場で竹刀を握るとき、私は武士道の教えを胸に刻み、
「どう生きるべきか」という問いに向き合っているのです。