剣道が教えてくれる人生哲学
石川県で剣道と共に20年を歩んできました。
勝つことだけを追いかけた日もあれば、負けて涙した夜もありました。
振り返ってみれば、剣道は技を磨く場であると同時に、人生そのものを学ぶ場でもあったのです。
間合いを知る ── 距離感が人生を決める
剣道で最も大切なのは「間合い」です。
遠すぎれば届かず、近すぎれば危うい。
これは人間関係にも、人生の選択にも通じます。
相手を理解し、自分の立ち位置を知る。適切な距離感をつかむことが、心の平安を保ち、信頼を育みます。
一瞬に懸ける ── 決断の覚悟
一本を取る瞬間は、迷いを捨てた心と体の一致から生まれます。
同じように、人生の岐路でも迷いを超えた「打ち込み」が求められます。
たとえ失敗しても、そこには潔さがあり、学びがあります。
決断とは、未来を切り開くための勇気の証なのです。
礼に始まり、礼に終わる ── 感謝の姿勢
剣道は、勝敗の前に必ず「礼」で始まり、「礼」で終わります。
この姿勢は、日々の暮らしにも直結しています。
家族や友人、仕事の仲間、そして出会うすべての人に敬意を払い、感謝を持って向き合う。
その積み重ねが、豊かな人生を形づくります。
継続の力 ── 日々を磨き続ける
剣道に近道はありません。
素振りを繰り返し、同じ技を何度も稽古し、心身を整える。
人生もまた、日々の小さな習慣の積み重ねが自分を育てます。
「続けること」こそが、人を強くし、深めるのです。
終わりに
剣道の道は、人生の道そのものです。
間合いを見極め、決断を恐れず、礼を尽くし、日々を重ねる。
その教えを胸に刻むことで、人生はより静かに、より力強く歩めるのだと感じます。
石川の地で竹刀を握り続ける一人の剣士として──
私は、剣道が示すこの哲学を、これからも生き方の軸として大切にしていきたいと思います。