【本田教之】“正解”のないプロジェクト
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「これ、正解ってあるんですか?」
若手のエンジニアに聞かれて、言葉に詰まったことがある。
案件は、クライアントの業務改善を目的としたWebシステムのリニューアル。要件は複雑、関係者は多く、落としどころが曖昧。
まさに“正解のないプロジェクト”だった。
経験上、こういう仕事ほど面白い。だけど、怖いのも事実だ。
なぜなら、誰も正解を知らないから。誰も地図を持っていないから。
システム開発は“仕様”というルールの上で進める仕事だ。でも現場の本音は、仕様書に書かれていないことの方が多い。
「この機能、本当に必要なの?」
「運用する人の負担は増えてない?」
「数値に出ないけど、ユーザーの気持ちはどう変わった?」
そんな問いを持てるかどうかで、プロジェクトの価値は大きく変わる。
僕は独立してから、仕様書の“行間”を読むようになった。
クライアントが何に悩み、どこに本音を隠しているのか。
技術より、観察力と共感力の出番が多い。
そして思う。
エンジニアに求められるのは、「言われたことを正しく作る力」だけじゃない。
「言われてないことに気づき、形にする力」も同じくらい重要だと。
正解が用意されたプロジェクトは、スムーズかもしれない。
でも、正解のないプロジェクトは、チームを育てる。
考える力、聞く力、迷いながらも進む力。
そういう力は、これからの時代にこそ必要なんじゃないかと思っている。
もし、あなたが「この仕事、何が正解なんだろう?」と迷っているなら。
それは、今いいプロジェクトに関わっている証拠かもしれない。
一緒に、正解じゃなく“納得解”を探していきましょう。