「方位磁石」を持たずにジャングルへ入る勇気
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こんにちは!本田教之です。
二十年もシステム開発という極めて緻密な地図を書き続ける世界で生きてくると、時々、目的地までの一歩一歩がすべて決まっていることの退屈さに息が詰まりそうになることがあります。エンジニアの仕事は、迷いを消し去り、最短距離でゴールへ辿り着くための完璧なナビゲーションを構築することです。しかし、最近の私はあえて、チームのメンバーに方位磁石を渡さず、深い霧が立ち込める未知のジャングルへと放り込むような、一見すると無謀な冒険こそが必要だと考えています。至れり尽くせりのガイドラインは人を安心させますが、同時に自分の頭で考え、足元を確かめながら進むという、人間が本来持っている生命力を奪ってしまうからです。
かつて大手メーカーで構築していた巨大なインフラは、まさに誰もが迷わず、何の摩擦もなく歩ける舗装された高速道路のようなものでした。そこには快適さはありましたが、予期せぬ発見や、道を切り拓く喜びはありませんでした。私が本当に作りたいのは、各自が独自の勘と感性を頼りに、時には道に迷いながらも一つの光に向かって勝手に進み始める、梁山泊の荒くれ者のような集団です。地図がないからこそ、メンバー同士は声を掛け合い、互いの背中を預け、マニュアルには載っていない独自の連携を編み出していきます。その不確実なプロセスの中にこそ、組織が真に自走し始めるための熱源が隠されているのです。
仕事とは本来、与えられた座標を正確になぞることではなく、自分たちの足跡を新しい地図にしていくプロセスそのものです。社外のコミュニティに顔を出し、評価の物差しを一度捨てて自分を主語に語り合う時間は、まさに自分の内なる方位磁石の針を再調整するための大切な儀式です。完璧な正解よりも、一見すると無意味に見える回り道や、泥だらけになって見つけた小さな違和感のほうが、時に未来を大きく変える発明に繋がります。デジタルな正確さを追求するプロだからこそ、私は人間という不確定で豊かな存在が、混沌の中で見せる一瞬の輝きを信じ続けたいと考えています。
二〇二六年、世界はさらに予測可能なものへと書き換えられていくでしょう。しかし、そんな時代だからこそ、私たちはあえて立ち止まり、あやふやな霧の中へと一歩を踏み出す勇気を持つべきです。誰かに引かれたレールの上を走るのをやめ、自分の直感という名の不確かな光を頼りに進む。その不器用で必死な探索の中にこそ、これからの時代を生き抜くための本当の強さと、誰にも真似できないあなただけの物語が宿ります。もしあなたが、今の整備されすぎた環境に物足りなさを感じ、自分の手で道を作りたいと願っているなら、ぜひ私たちの不完全な遠征に加わってください。そこには、効率的な成功よりもはるかに刺激的で、魂が震えるような発見に満ちた未来が待っています。
正確な数字を扱いながらも、心は常に未知の荒野にある。そんな矛盾を楽しめる仲間と共に、まだ誰も見たことのない景色を奪いに行きたい。完璧な準備はいりません。ただ、自分を主語にして新しい世界を歩きたいという、その渇きだけを持って集まってください。霧の向こう側で、あなたという一人の人間と、予測不能な化学反応を起こせることを、私は心から楽しみにしています。