ノーコード開発のリアル(スペインSouth Summitで得た教訓)
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🚀 South Summitに参加してきました!
今日は、IEビジネススクールが共催するスタートアップイベント「South Summit」に参加してきました。ヨーロッパ各地からスタートアップや投資家が集まる3日間のイベントで、最先端のプロダクトやトレンドに触れられる貴重な機会です。
💡気になっていた講演:「Vibe Coding」のリアル
中でも一番楽しみにしていたのが、Álvaro Moya氏による「Vibe Coding: the Real Limits of No-Code」。AIに自然言語で指示してアプリ開発を進める「バイブコーディング」や、ノーコード開発の限界、そして効果的な活用法についての講演でした。
(このあとのセッション要約は記事の最後にまとめています📌)
🤖 ノーコードツール、進化中
最近感じるのは、「コーディングができる人ほど、ノーコードに触れていない」ということ。たしかにコードが書けるなら使う必要はないかもしれませんが、ノーコードの進化は本当に早い。
昔ながらのAdaloから、最近はBubbleが主流のようです。私も使ってみましたが、BubbleはAdaloよりも学習コストがやや高い印象。
バイブコーディング系では「Lovable」が注目されており、私も試しました。でも細かな修正が続く場面では、うまく指示できず、結局Adaloに戻ることに…。
🧑💻 イベントで出会った学生のTips
講演のあと、偶然近くに座っていた学生さんと話す機会がありました。彼もLovableユーザーで、「ClaudeやTask Masterを組み合わせてプロンプトの精度を上げてる」とのこと。
なるほど、それは試してみたい…!Moya氏も、CursorやGitHub Copilotなどのツールを推していたので、次回の開発で導入してみようと思います。
🌍 新しい出会いも!
ブースには多くのスタートアップが出展しており、スペインの「Shaker」という企業が面白かったです。ヨーロッパのフリーランサーと開発プロジェクトをマッチングするプラットフォームで、我々のチームにもフィットしそうな方がいるかも?来週、さっそくミーティング予定です。
🔜次にやってみたいこと
今回のイベントを通じて得た学びを活かしながら、引き続きFIT4UのMVP開発を進めていきます。今週は、今年秋からIEに入学予定でGlideを使っているドミニカ共和国出身の学生の方と、また、IEでデータ分析を学んでいてこのプロジェクトに興味をもってくれた学生とお話する予定です。新しい視点やスキルを持った人たちとの出会いや繋がりが、今後の開発にも良い刺激になりそうで楽しみです!
さらに来週は、マドリードで開催されるBubbleユーザーのミートアップにも参加してみる予定。ちょっと緊張しているのですが(笑)、オープンマイクにも申し込んでみました。自分のプロジェクトや経験をシェアしてみることで、また新しい気づきや仲間と出会えることを期待しています。
📌 Moya氏の講演まとめ(抄訳)
🛠️ Bubbleのようなノーコードツールの活用について
- 最初はワクワクするもの
多くの人がノーコードツールに魅了されるが、本格的なプロダクト開発の難しさを過小評価しがちである。 - スタートアップのMVPには有効
一人または少人数の創業チームがノーコードツールを用いてアイデアを迅速に検証することは、非常に合理的である。 - 適したユースケース
- ランディングページ(静的コンテンツ)
- インタラクティブなプロトタイプ・モックアップ
- マイクロアプリ(社内ツール等)
- シンプルなデータ処理ツール(タイムトラッキングやアンケートなど)
⚙️ ノーコードとフルコードの中間に位置する「Vibe-codingツール」
これらはノーコードの直感性とコードの柔軟性の両方を取り入れた「ハイブリッド開発」向けの選択肢。
- Lovable
- Replit
- Vercel(VIZ)
- Firebase
- Bolt
⚠️ ノーコード開発のリスクと限界
- セキュリティやスケーラビリティの欠如
非エンジニアの創業者は、サイバーセキュリティや異常時対応、パフォーマンス最適化などの技術的課題を見落としがちである。 - バージョン管理の不在
多くのノーコードツールでは「元に戻す」機能が限定的であり、バグ修正の難易度が高くなる。 - ツールの限界
外部サービスとの複雑な連携や高度な処理性能を求められる場合、ノーコードツールでは限界に直面する。 - スケーラビリティの危険性
例えば1,000リクエスト/分のような負荷がかかる状況では、ノーコードMVPの構成は破綻する恐れがあり、深刻なセキュリティリスクを招く可能性もある。
🔧 ソフトウェア開発の複雑化と対応領域
ソフトウェア開発は年々複雑性を増しており、スケールを目指す段階では以下のような技術領域への対応が不可欠である:
- フロントエンド/バックエンド
- データベース設計・管理
- クラウドインフラの構築・運用
- セキュリティ対策
- テストと品質保証(QA)
- パフォーマンス最適化
- ログ・モニタリング環境
- 他ツール・サービスとの統合
💡 ベストプラクティスとアドバイス
- MVP段階ではノーコードで十分
初期のアイデア検証やプロトタイプ構築にはノーコードが極めて有効である。 - ただしその後は段階的な移行が必要
- 経験豊富なエンジニアを早い段階で巻き込み、アーキテクチャ設計・セキュリティ設計・拡張性担保を進めるべきである。
- ノーコードの継続利用を選ぶ場合でも、ノーコードの構造と制約を理解した開発人材が求められる。
- GitHub CopilotやCursorやWindsurfといったAI開発支援ツールは有効であるが、基本的な開発知識と設計原則を踏まえて活用する必要がある。
🔮 開発の未来について
- 業界リーダーたちの言葉
- 「コーディングの未来は、コードを書く必要がなくなることである」(GitHub CEO)
- 「人間の言葉でソフトウェアが作れる世界を目指している」(Jason Huang)
- 「AI開発ツールが世界トップエンジニアを超える日は近い」(Sam Altman)
- 総論
ノーコードやAIツールは今後ますます強力な開発手段となるが、それを武器として活かすためには、それらの特性と限界を理解し、適切に運用できる“プロフェッショナル”の存在が不可欠である。
✅ まとめ
ノーコードは、アイデアの迅速な実現や初期検証において非常に強力な手段である。だが、プロダクトをスケールさせ、持続可能なサービスとして構築していくためには、早い段階で技術的なパートナーを巻き込み、構造的な強化を進める必要がある。