「私がまたお迎えに行ってこようか」
麻美子が言った。
「あ、そろそろクルージングヨット教室の配属発表か」
「うん」
麻美子がラッコのキャビンから横浜のマリーナクラブハウスに出かける準備をしていた。
「じゃ、行ってきます」
麻美子がキャビンから出かけようとすると、香代が麻美子の手を握った。
「私も行く」
「うん。じゃあ、一緒に行こうか」
麻美子は、香代と一緒に新しい生徒のお迎えに向かった。
「隆さんって、次に来る生徒のことは気にならないの?」
陽子が、隆に聞いた。
「そんなことはないよ。良い子が来るといいなと思っているよ」
「でも、ほぼお迎えは麻美ちゃん任せじゃない」
陽子が隆に言った。
「そうね。確かに去年よりは今年の生徒に関してはあんまり気にしていないかも」
「なんで?」
「去年はさ、生徒が来る前は、ラッコって俺と麻美子だけだったじゃん」
「そうだね」
「だから、誰が一緒に乗ってくれるようになるか気になったけどね」
隆は答えた。
「今年は、もうこれだけラッコの乗員は揃っているじゃない。だから、その分は気にならないかな」
「なるほど」
陽子は、隆に言った。
「それよりも、アクエリアスとか今、クルーが誰もいなくなってしまったじゃん。アクエリアスに良い生徒さんがたくさん来てくれないかなって気になるよ」
「そうか」
「出ないと、またこの間の春の保田クルージングみたいに、俺らが半々で別れなければならなくなるよ」
「あ、それは問題だね」
陽子も隆に頷いた。
「だから、もし今から来る新しい生徒さんを気にしていなくて、冷たく扱っていたら皆で俺の代わりにフォローしてやってくれよな」
「わかったww」
陽子が答えた。
「そんなわけないじゃん。隆さんって優しいもの。そんな冷たく扱ったりするところ想像できないんだけど」
香織が言った。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」「文筆のフリーラン」「魔法の糸と夢のステッチ」など
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