クルージングヨット教室物語205
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「マッキーも、もう出航して来ていますね」
隆は、後ろを振り返って、保田港から出てくるマッキーを見て言った。
「早く出ないと、暗くなる前に横浜までたどり着けないからね」
中村さんが言った。
「もう少しゆっくりしてから出てくれば良いのにね」
「昨日だって、夕方になってから入港してるのに、お酒飲んで終わりだね」
「そうだよな」
隆は、陽子と話していた。
「連休最終日だし、明日からは仕事だからゆっくりはしていられないよ」
中村さんが2人に言った。
アクエリアスは、千葉側から横浜側へ本船航路を横断して行く。その後ろからラッコも横断する。
「追いつかれるよ」
中村さんが後ろからやって来るマッキーの姿を見て、隆に言った。
「ああ、マッキーは38フィートありますからね。エンジンだって大きいし」
隆は、中村さんに返事した。
「抜かれるよ」
中村さんは、大きさに関係なく後ろから来たヨットに抜かれるのが悔しそうだった。
「どうしよう。もう少しエンジンを上げる?」
アクエリアスのラットを握っていた瑠璃子が隆に聞いた。
「いや、エンジンが傷んじゃうから、もうこのままの巡航速度で行こう」
隆は答えた。
「どうせ、どっちのヨットもメインセイルだけ上げて、エンジンで走っているだけだから、積んでいるエンジンの大きさだけで追い抜かれているだけだから、抜かれたってどうってことないよ」
隆は、瑠璃子に答えた。
「そうだとね。エンジンで抜かれても、そんなに気にならないよね」
陽子が隆に同意した。
「あの速度で帰れるんだったら、保田でもう少しゆっくり出ても良かったのに」
瑠璃子が追い抜いて行くマッキーの姿を見て呟いた。
「確かに」
「ただ、ここの本船航路を横断するときは、なるだけ早く横断してしまいたいという気持ちはわかる」
「そうか、そうだね。本船航路は早めに横断したいね」
陽子が、左右からやって来る大型本船の姿に気をつけながら言った。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」「文筆のフリーラン」「魔法の糸と夢のステッチ」など
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