「おはようございます」
隆は、ラッコに戻ると、起きてデッキに出て来た中村さんとマッキーの人たちに挨拶した。
「昨日は、本当によく飲んだよ」
「確かに、ぐっすり眠ってましたものね」
隆は、マッキーの面々に苦笑していた。
「今日も風は全然無さそうですよ」
「ね、ここから見ても、海はベタって凪いているのがわかるよ」
阿部さんが隆に答えた。
「どこか遊びに行くんですか?」
「いや、もうこのまま帰るよ」
マッキーは隆に答えた。
「昨日到着したばかりだから、午前中ぐらいはどこかに遊びに行くのかと思った」
「いや、帰りが遅くなってしまうもの。朝から出航するよ」
マッキーは答えた。
「ラッコは、クルージング先でもしっかりあっちこっち観光して周っているよな」
「そうですね」
「やっぱ、地元であっちこっち行ってクルージングする方が良いんだよ」
「うちらのように、港で1泊だけして帰ってしまうより、しっかり地元でお金を落として行くクルージングの方が地元にも貢献できるからね」
隆は、マッキーの人たちに褒められていた。
「あれ、アクエリアスなの?」
隆と陽子、瑠璃子がアクエリアス上で艤装の準備をしていたのを見て、マッキーの人たちが言った。
「そう、今回のクルージングは2艇に別れて保田まで来たんです」
隆が笑顔で答えた。
「あれ、じゃあ、ラッコのボースンは誰?あ、麻美ちゃんか」
「え、いや、あれはただのお飾り」
隆は、ラッコのデッキ上の香代を指差しながら、阿部さんに答えた。
「ラッコは1艇でメンバーの人数多いものな。そういう風に別れたんだ」
阿部さんが答えた。
阿部さんも本来は横浜のマリーナに停泊しているステラマリスという30フィートのヨットだ。マッキーは、本来のマッキーのメンバーと他に横浜のマリーナにヨットを停泊している何艇かのオーナーで寄せ集めで保田までクルージングに来ていた。
「それじゃ、先に行きます」
隆は、香代が無事にラッコをポンツーンから離岸、出港するのを見届けると、アクエリアスを操船して保田の港を離れた。
「俺たちも、すぐに出るよ」
阿部さんがマッキーの出航準備しながら、隆に声をかけた。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」「文筆のフリーラン」「魔法の糸と夢のステッチ」など
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