クルージングヨット教室物語196
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「なんか気持ちいいな」
「天気が良くて、ポカポカしてるから高原を走るのがいいわね」
隆と麻美子は、マザー牧場の園内を走る汽車に乗って楽しんでいた、
「ラッコのラットを握っている気分」
2人の真ん中に腰掛けている香代が言った。
汽車の3人がけの座席中央には、おもちゃの運転席のハンドルが付いていた。
「確かに!いつもラットを握っているのは香代だから、俺たちが香代の操船に乗せてもらってる感じだな」
隆が言った。
「なんか本当の家族みたいなんだけど・・」
隆たちが乗っている汽車が走っているのをスマホで写真撮りながら、陽子が話していた。
「本当に仲の良い親子にしか見えないよね」
瑠璃子も、陽子に頷いた。
「それじゃ、最初はあれに乗ってみようか」
園内マップの前で園内を確認していた時、やって来た汽車を隆が指差した。
汽車は、ちょっと子どもっぽい汽車だったので、皆は隆の冗談だと思っていたのだが、香代だけが香代だけが1人隆に頷いていた。
「それじゃ、3人で乗ってこようか」
麻美子の言葉で、隆、麻美子に香代の3人だけで乗ることになったのだった。
「3人が乗っているところを写真に撮ってあげるよ」
陽子が言って、他の皆は撮影班となったのだった。
「麻美ちゃんと香代ちゃんは本当に優しいお母さんと娘だね」
香織が感想を告げた。
「隆さんは、物静かで遠くから母娘を見守るお父さん」
陽子が言って、皆が笑っていた。
「不器用で少し鈍感なお父さんね」
雪がクールに言って、皆は大笑いになった。
「あの2人は、本当に結婚したら良いのにな」
中村さんが隆と麻美子を眺めて、皆に言った。
「隆さんって、けっこう恋愛に疎いんです」
よく隆とお喋りしている陽子が、中村さんに説明した。
「隆くんって疎いというか、照れ屋でわざと麻美ちゃんと一緒にいるのを避けてるとこもあるよね」
雪が言った。
「え、わざと」
「うん。私が麻美ちゃんのことを突っ込んだりすると、照れてトボケるのよね」
「あ、確かにそういう場面もあるかも」
瑠璃子が雪の言葉に納得していた。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」「文筆のフリーラン」「魔法の糸と夢のステッチ」など
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