クルージングヨット教室物語189
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「ね、麻美ちゃん!」
隆は、雪たちと歩いている麻美子を呼んだ。
「え、やだ。隆から麻美ちゃんとか呼ばれると気持ち悪いんだけど」
「別に良いじゃん、麻美ちゃん、麻美ちゃん」
隆は、わざと何度も麻美ちゃん麻美ちゃんと呼んでいた。
「はいはい、隆ちゃん。何なの?」
麻美子が、隆の側にやって来て聞いた。
「この速度でさ、駅まで歩いてても終電に間に合うかわからないし」
中村さんも、雪も結構千鳥足だった。
「ここから保田までタクシーに乗ってしまわない」
「良いけど、8人も乗れる大きなタクシーなんか来るかな」
「そうか」
隆は、麻美子に返事した。
「まあ、良いよ。2台拾っちゃって、分散して行こうよ」
麻美子は、隆に言った。
「瑠璃子ちゃん、あのタクシー2台拾って」
ちょうど空車のタクシーが2台走って来た。
「タクシーで帰るの?」
「うん」
2台のタクシーに分乗して保田まで帰ることになった。
「私、隆さんと乗ろうかな」
なぜか酔っ払った雪が、隆の手を握ってきた。
「良いんじゃない。隆、雪ちゃんと一緒に前のタクシーに乗って行きなさいよ」
麻美子が隆に言った。
「行こう」
雪に腕を組まれたまま、隆は一緒に前に停まっているタクシーに乗り込んだ。
「いつもの陽子ちゃんや香織ちゃんじゃなくて、隣が私じゃ不満でしょう」
「いや、そんなことないよ」
隆は、雪に苦笑していた。
「それじゃ、お願いします」
麻美子は、前のタクシーの運転手さんに保田の港までと説明してから、自分は後ろのタクシーに乗った。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」「文筆のフリーラン」「魔法の糸と夢のステッチ」など
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