「電車ってまだあったっけ?」
隆は、陽子に聞いた。
「うん。まだあったと思うけど」
「8時までの時間しか見てこなかった」
時刻は、もう夜の9時を過ぎていた。中村さん、雪に麻美子は、もうだいぶお酒が良い感じに入ってしまっていた。
「紹興酒がまずかったかな」
「うん、ちょっとね。紹興酒のアルコール度数が悪かったかもね」
ほんの少しだけお店の紹興酒を飲んだ香織と隆は、小声で話していた。
「そろそろ帰りますか」
隆が、中村さんたちの席の側まで行って、話しかけた。
「そろそろ電車が無くなるかもしれませんし」
お店の壁に掛かっている時計を見ながら、説明した。
「まだ電車はありますかね」
「上り?下り?9時50分が最後かな」
中華屋の店主が隆に教えてくれた。
「この紹興酒ってお持ち帰り大丈夫ですかね?」
「あー、良いですよ」
お店の人が隆に言ってくれた。
「それじゃ、紹興酒持ち帰って、帰ったら続きを飲みましょう」
ようやく皆、席を立った。
「俺、お金持っていないんだけど」
いつも財布は麻美子に管理してもらっている隆が言った。
「私、お財布あるから払っておこうか」
陽子が自分のバッグから財布を取り出した。
「私は、そんなに飲んでいないから大丈夫よ」
麻美子が、陽子の取り出した財布を本人のバッグに戻しながら言った。
「おいくらですか」
麻美子は、自分のバッグから財布を取り出すと、お店の支払いを済ませた。
「また、ぜひ来てくださいね」
お釣りと一緒に、杏仁豆腐の入った紙袋を麻美子に手渡してくれた。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」「文筆のフリーラン」「魔法の糸と夢のステッチ」など
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