クルージングヨット教室物語186
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「あ、すぐそこにも港があるじゃん」
「勝山の港だね」
隆は、香織に説明した。
「ここの港は、ヨットで来れるの?」
「来れるよ」
隆は、香代に答えた。
「保田に入れるのも、勝山に入れるのも距離的にはほとんど変わらないよ」
「でも、いつも保田ばかりに入港しているよね」
陽子が聞いた。
「保田の港の方がヨットとかボートのことを受け入れてくれやすいんだよね」
「港に、港直轄の料理屋さんもあるし」
「麻美子がお財布持って事務所に顔を出せば、1泊堂々とヨットを停泊させられるじゃん」
隆が言った。
「また今度、一度ぐらいは勝山の港にも入港してみようか」
隆の言葉に、香代は大きく頷いていた。
「昔は、よく勝山の港に泊まって、クルージングしていたんだよね」
「ですよね」
まだラッコが進水する以前にクルージングしていたことを思い出しながら、隆が中村さんに返事した。
「え、やだ。なんか良いお魚!」
麻美子が、中華屋の横にある魚屋の店頭を覗いて叫んだ。
「そんなに良い魚なの?」
「うん、だって中目黒の魚屋じゃ、こんな新鮮で活きのいい魚買えないよ」
麻美子が隆に言った。
「これは、今朝そこの港で獲れたばかりの魚ですからね」
麻美子の言葉に嬉しそうに魚屋の店主が答えていた。
「どうする?買って行く」
「うん」
麻美子は、香代に聞いていた。
「これから、そこの中華屋で食べるんだけど」
隆が麻美子に言った。
「明日の夜ごはんとかにしようか」
「タコかわいい」
香代は、バケツの中で動いているタコを眺めていた。
「おじさん、タコとそっちの魚をもらえますか」
麻美子の頭の中では、明日の晩ごはんのメニューが浮かんでいるようだった。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」「文筆のフリーラン」「魔法の糸と夢のステッチ」など
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