クルージングヨット教室物語185
Photo by Yukiko Hamabe on Unsplash
「ちょうど良い時間の電車あるかな?」
保田の駅に着くと、麻美子が言った。
「帰りの電車の時間も調べておかないとな」
中村さんが言った。
「え、3分後に発車するじゃん」
計算の得意な瑠璃子が時刻表を見るなり、叫んでいた。
「もう切符買って、電車に乗らないと」
「隆とか陽子ちゃん、足が速そうな人たちで先にホームに行っていて」
麻美子は、バッグからお財布を取り出しながら、皆に言った。
「香代、速いな」
真っ先にホームまで走っていってしまった香代の後ろ姿を見ながら、隆が言った。
「まだ3分もあるんだから、あそこまで走らなくてもいいのに」
陽子も苦笑していた。
「まだ来ていないよ」
後からやって来た隆に、香代が言った。
「間に合ってよかった」
「速いよ、香代ちゃん」
香織が言った。
「高校の時に陸上部だったもの」
香代が、香織に答えた。
最後に、麻美子が皆の分の切符を持って、ホームにたどり着いた。
「電車来た。東海道線みたい」
オレンジと緑の電車だった。
横浜出身の人には、オレンジと緑の電車は東海道線にしか見えなかった。
「勝山の駅に着いたら、帰りの電車の時間も確認しておこう」
隆が言った。
保田から勝山までは、ほんの数分で着いてしまう。電車は空いていて、全員座れてしまうぐらい席は空いているのだが、中村さん、麻美子と雪ぐらいしか席には座らず、あと残りは皆、立ったままだった。
「勝山だよ!」
隆が座っている麻美子に向かって叫んだ。
「わかっているわよ」
麻美子が苦笑しながら、中村さんたちと席を立ってドアに向かった。
「お風呂入って、ごはんを食べたら1時間ぐらいかな」
「1時間で行ってこれるかな」
「2時間、3時間か」
勝山駅の時刻表を確認する。
「この辺の時間帯を覚えておけば大丈夫そうね」
電車の本数は、なんとかありそうだった。
「マザー牧場の案内があるじゃない」
帰りの時間は、隆たちに任せて麻美子は香代と駅に貼ってあるマザー牧場のポスターとパンフレットで明日行く場所の確認をしていた。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」「文筆のフリーラン」「魔法の糸と夢のステッチ」など
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