「お願いします」
ラッコの船体がポンツーンに近づくと、そこに待っていた陽子に舫いロープを手渡した。
「香代、後ろの舫いロープをくれるか?」
「はい」
香代は、ラッコをポンツーンに着岸し終わると、ラットから手を離して、船尾の舫いロープを隆に渡した。
ポンツーンのクリートに舫いロープを結んで、フェンダーの高さを調整するとラッコに乗り込んだ。
「しっかり準備はできている?」
隆に言われて、香代は一緒に船内を点検していた。
「瑠璃子も、今回は一緒にアクエリアスに乗るか?」
「え、別にどっちでも良いけど」
瑠璃子は、隆に答えた。
「それじゃ、瑠璃子と陽子で先にアクエリアスへ行って、中村さんを手伝って、アクエリアスのセイルとか出航準備をしておいてくれるか」
「わかった、先に行っている」
陽子は、瑠璃子と一緒に後ろのポンツーンに泊まっているアクエリアスへ移動した。
「アクエリアスって、隆さんと陽子ちゃん、香織ちゃんで乗るのかと思ってた」
瑠璃子が陽子と一緒に行ったので、香代が隆に言った。
「そっちの方が良いか?」
隆は、香代に聞いた。
「瑠璃子をこっちに残して、香織を向こうに連れて行った方が良いか?」
「ううん、どっちでも良いけど」
香代は、隆に答えた。
「え、香織ちゃんは、こっちに乗ろうよ」
麻美子が香織に言った。
「だって、香織ちゃんは、この間までアクエリアスの生徒だったんだよ。さすがにアクエリアスには乗りづらいよね」
「そんなこともないけど」
香織は、麻美子に答えた。
「でも、どちらかというとアクエリアスよりは、こっちに乗って行きたいかな」
「うん、その方が良いよ。一緒にこっちで行こう」
麻美子は、香織に言った。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」「文筆のフリーラン」「魔法の糸と夢のステッチ」など
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