クルージングヨット教室物語176
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船台に乗っていたラッコがクレーンで移動されて、海上に降りた。
「もう乗っても良いですか?」
「どうぞ」
クレーンの操作をしていたマリーナ職員に陽子が聞いて、OKをもらえたので乗船する。
「香代ちゃん、乗っても良いってよ」
「はーい」
香代も、麻美子や雪と一緒にラッコへ乗船した。
「乗らないの?」
瑠璃子が、クレーン脇で海上に降ろされたラッコを立って眺めているだけの隆に聞いた。
「香代と麻美子、雪って3人も乗っているし、ポンツーンの横付けは香代に任せようか」
隆は、瑠璃子に言った。
「じゃ、私たちは先に歩いてポンツーンに行って、舫いを取ってあげようか」
「ああ、そうしよう」
隆は、ラッコには乗らず、香織と一緒にポンツーンへ歩いて向かった。瑠璃子も2人の後について行った。
「なんかさ、最近すっかり隆さんってラッコの操船を香代ちゃんにお任せだよね」
「その方が良いだろう?」
隆は、瑠璃子に答えた。
「香代が上手になってきたら、次は瑠璃子が中心で乗船できるようになろうな」
「はい、頑張ります」
「瑠璃ちゃん、頑張って!」
香織は、2人の話を聞いていて、瑠璃子を応援していた。
「いや、瑠璃ちゃんの後は、香織も覚えるんだよ」
「あ、そうね。その時は隆さんが手取り足取りで教えてね」
香織は、隆に甘えていた。
「その方が、皆が順番に上手に乗れるようになって楽しいだろう」
「それはそうだね」
養護学校の先生の香織が、隆の考えに賛成していた。
「舫いロープを先につけた方が良くない?」
フェンダーをぶら下げようとしている雪に、麻美子は言った。
「その方が良いかな?」
雪は、麻美子に言われて舫いロープの準備を先にしようとしていた。
「フェンダーが先で良いんじゃないの?舫いは、ポンツーンで皆、待っていてくれるもの」
香代が2人に言った。
「ですって。船長がフェンダー先ですって」
「了解!」
雪と麻美子は、香代の指示で先にフェンダーを取り付け始めた。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」「文筆のフリーラン」「魔法の糸と夢のステッチ」など
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