「まだ夜も少し涼しいし、ヨットで寝るのも寒いから近場にしようか」
「そうだね。千葉の保田ぐらいかな」
隆と陽子は話していた。
春分の日の朝の横浜のマリーナでのことだった。
「中村さん、春とはいっても、まだ夜とかは涼しいですし、あまり遠出はしないで保田ぐらいにしようかと思うのですが」
「うん、隆くんに任せるよ」
中村さんとの協議の結果、春のクルージングは保田に決まった。
「今日は、子供ヨット教室っでやっていないのね」
閉まっている艇庫を見て、麻美子が言った。
「土曜日だもん。ジュニアヨット教室はやっていないよ」
「そうなんだ」
「ジュニアヨット教室は日曜日だけ開催しているから」
「日曜日だけなのね」
麻美子は、隆から聞いて開催日を確認していた。
「麻美ちゃんって、ディンギーに乗ってみたいの?」
開催日を気にしている麻美子に、陽子が聞いた。
「ディンギーに乗りたいってわけじゃないわよ。なんか、将来に自分の子供ができた時には、その子にもヨットを教えてあげたいなって思って」
「あ、そういうことね」
陽子は、麻美子から聞いて納得していた。
「それはそうよね。お父さんも、お母さんもヨットに乗るのに、子供にもヨット乗って欲しいよね」
「ね、そう思わない」
麻美子は、陽子に頷いていたが、隆の方は全然自分とは関係ない話かと思っているようだった。
「香代!準備は?」
隆は、船台の下から上のラッコに乗っている香代に聞いた。
「大丈夫、もう用意終わっている」
「よし、じゃあ、マリーナの職員にクレーンで下ろしてもらえるように頼んできて良いか」
「うん、お願いします」
隆は、陽子とクレーン作業しているマリーナ職員のところへ走っていった。
「もう、このまま出航する?」
「とりあえず、アクエリアスが泊まっているポンツーンの横に横付けしよう」
隆は、陽子に答えた。
「そこで、荷物とか最終確認してから出航しよう」
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」「文筆のフリーラン」「魔法の糸と夢のステッチ」など
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