「おはよう」
一番最後に起きてきたのは、隆と香代だった。
「あれ、なんか人数が少なくないか」
隆は、ダイニングで朝食を食べている人たちを眺めて言った。
「さすが、しっかり乗員の数を把握しているじゃん」
「雪ちゃんが、会社へ行く前に家に寄りたいからって先に帰った」
「あ、そうなんだ。雪が帰ってしまったのか」
隆が言った。
「さあ、隆も、香代ちゃんも早く朝食を食べないと会社に遅刻しちゃうよ」
麻美子が、2人に言った。
「今日は、重役出勤っていうの。社長出勤しようか」
「うちの会社に、そんなシステムはありません」
麻美子は、隆に注意した。
「え、陽子ちゃんの会社って大手町なの?」
「そうよ」
「それじゃ朝、大手町まで車で送ってあげる」
麻美子は、陽子に言った。
香代と瑠璃子の会社は、横浜のみなとみらいだ。香織は鶴見区の養護学校だった。
「皆も、車で送ってあげるからね」
朝食を終えると、早めにラッコの戸締りをしてマリーナを後にした。
「瑠璃ちゃんと香代ちゃんの会社って、結構近いのね」
麻美子は、みなとみらいの会社まで2人を送り届けると、呟いた。
「言っても、みなとみらいってそんなに広いエリアじゃないからね」
隆は答えた。
麻美子は、みなとみらいを出ると、そのまま国道を鶴見区まで走って、香りのことを養護学校まで送り届けた。
「そしたら、このまま真っ直ぐ行けば、大手町だからね」
「なんか、今日の通勤はすごく楽できた。ありがとう」
陽子は、大手町で車を降りると、麻美子に言った。
「行ってらしゃい!また、たまにはマリーナステイしような」
助手席から隆も陽子に手を振っていた。
「後は、渋谷まで行くだけだよな」
「お疲れ様」
麻美子は、車を渋谷の自分たちの会社へ向けて走らせていた。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」「文筆のフリーラン」「魔法の糸と夢のステッチ」など
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