クルージングヨット教室物語154
Photo by ALLAN LAINEZ on Unsplash
「今日は、少し早めに港に入れたいな」
香織は、隆に言った。
「ああ、そうだね。貯木場に早めに入港しようか」
隆は、香織に返事してから、ラットを握っている香代に言った。
「はーい」
「今日は、何か貯木場であるの?」
松浦さんが、隆に聞いた。
「あるんだよな、瑠璃子」
「うん。皆でキャビンの中でバレンタインパーティーしたいの」
瑠璃子が答えた。
「なるほど、もうじきバレンタインデーだものな」
阿部さんが言った。
「バレンタインパーティーというのは、一体何をやるの?」
「皆、チョコを持ってきているんで、キャビンの中で湯煎したりして、手作りチョコを作るの」
「なるほど、ここで作って、それを彼氏とかにプレゼントするってことか」
中村さんが、瑠璃子に返事した。
「ううん。手作りチョコを作って、作ったら、今日この場で皆で食べちゃうの」
「プレゼントで誰かにあげるわけではないんだ」
「そう、みな特に彼氏とかいないし。ここで皆でお喋りしながら食べちゃおうって」
陽子が、中村さんに答えた。
「春になったら、もう貯木場には船を停められなくなってしまうじゃないですか」
隆が言った。
「だから、今のうちに船内でバレンタインパーティーして貯木場を楽しんでおこうと」
「そうだよな。来春からいよいよ横浜ベイサイドマリーナがオープンだものな」
松浦さんが言った。
4月からは、貯木場ではなく横浜ベイサイドマリーナに生まれ変わるのだ。
「入港します」
香代は、ラットを回して方向転換して、横浜ベイサイドマリーナに生まれ変わる直前の貯木場へと針路を向けた。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など
東京国際ボートショー開催中の横浜のマリーナではクルージングヨット教室生徒募集中!