クルージングヨット教室物語152
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「そうか、隆さんは寒いのが苦手なんだ」
陽子は、横に座っている隆に答えた。
「そう、寒いのはどうしても嫌だね」
隆は、陽子に返事した。
「隆は、寒いのが苦手なんじゃなくて、服を着ないからよ」
麻美子は、車を運転しながら答えた。
「だって、東京にいるときでさえ、それじゃ絶対に寒いって言うのに、セーターを着なかったり、ヒートテックを着なかったり、薄いジャケットだけで出かけたりするのだもの」
「そうなんだ」
「それじゃ、スキー場とかどこへ行ったって、寒いままだって」
麻美子は、隆に言った。
「だって、着るの嫌がるのを無理やりに着せてお出かけすると、意外に寒くないねって言うんだから」
「そうか」
皆は、麻美子から話を聞いて、隆のことを笑っていた。
「厚着するのが嫌なんだよな。なんかもこもこして」
隆が頭を掻いていた。
「普通に夏と同じ服装で、冬でも寒くならなければスキーでもどこでも行くんだけど」
「そのうち、スマホのアプリか何かで、自分の体の付近だけポカポカして一定の気温を保つ装置ができたら良いのにね」
香織は、隆に言った。
「雪ちゃーん!」
車の前方を、横浜のマリーナに向かって歩いている雪の姿を発見して、麻美子が車の中から声をかけた。
「あ、麻美ちゃん」
「乗って行く?」
「え、だってもうマリーナすぐ目の前なんだけど」
「そうだよね。しかも、私たちはその先の駐車場に車を入れるから降りないとならないし」
麻美子は、雪に答えた。
「先に行って、ラッコで出航準備しているね」
雪は、先に横浜のマリーナへと行ってしまった。
「私、駐車場の扉を開けてくる」
瑠璃子が車を降りると、駐車場のゲートに走っていった。
「ありがとう」
麻美子は、瑠璃子が開けてくれた駐車場のゲートから中へと車を入れた。
「私、久しぶりのヨットで、ヨットの乗り方忘れてしまっていることあるかも」
麻美子は、駐車場に車を停めると、車から降りながら香代に言った。
「そんなことないでしょう」
皆は、トランクを開けると、中から荷物を取り出してそれぞれ持ってマリーナに向かった。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など
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