ジュニアヨット教室物語65
Photo by Chloé Lefleur on Unsplash
「お帰り」
お母さんは、学校から帰ってきた洋ちゃんに言った。
「ただいま」
「ちょっとお庭を見てご覧なさいよ」
お母さんは、洋ちゃんを家の庭が見える窓に連れて行った。
「なに?」
洋ちゃんは、窓から外の庭を覗いた。ウサギのクロちゃんがいた。
「クロ」
洋ちゃんは、クロのことを呼んで、頭を撫でた。
「そっちじゃないわよ」
お母さんは、車の停まっているクロのいる側ではない側を指差していた。
「え、何のヨット?」
洋ちゃんは、車を停める駐車場の隣にある芝生が生えているお庭に置いてあるヨットに気づいた。
「お父さん、買ってくれたらしいわよ」
お母さんは、洋ちゃんに答えた。
「え、どういうこと?」
芝生の上に置かれていたのは、ミニホッパーだった。
「お父さんも、またヨットに乗りたかったみたいで、買ったみたいよ」
「そうなの?」
洋ちゃんは、お庭に出る時用のサンダルを足に引っ掛けると、庭に出て、ミニホッパーの白い船体を実際に確認していた。
「マストとかセイルはないの?」
「あるわよ」
お母さんは、庭の隅に付いている物置きの扉を指差した。
「この中か」
洋ちゃんは、物置きの扉を開いた。
「あ、セイルとマストもちゃんとあるじゃん」
マストやセイルの横に、センターボードやティラーも一緒に入っていた。
「これって、どこで乗るの?」
洋ちゃんは、お母さんに聞いた。
「もしかして、山中湖に持っていって、そこで乗るの?」
「それじゃ、さすがに遠すぎるでしょう」
「だよね」
洋ちゃんは、お母さんに答えた。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など
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