「お母さんも一緒に行くの?」
洋ちゃんは、お父さんの車の後部座席から助手席のお母さんに聞いた。
「あら、お母さんも一緒に行ったらいけないの?」
「別に行けなくはないけど、っていうか、泊まりで山中湖に行くとは思わなかった」
洋ちゃんは言った。
「どうせ、三連休なんだから日帰りで帰ってきてしまうよりも、泊まってのんびりしてくる方が良いだろう」
お父さんが車を運転しながら、洋ちゃんに答えた。
「テントでキャンプするとか」
「お前な、3人でホテルとか民宿に泊まったら、結構するだろうが」
「まあ、そうだけどさ」
お父さんの車は、日産のステーションワゴンだ。
洋ちゃんが腰掛けている隣の後部座席を倒して、トランクから座席にかけてテントが収まっていた。
「なんか渋滞してきたな」
横浜から八王子までは、比較的道路も空いていて順調に走ってこれた。それが山梨県に入ってからが、道路が渋滞してきて、車はなかなか進まなくなってきた。
「早めに出てきて良かったよ」
お父さんとお母さんは、話していた。
朝、6時過ぎに横浜を出発してきたので、三連休の最中でも、この時間でここまで来れたのだそうだ。
渋滞のせいで、山梨県に入ったときには、もう12時を回っていた。
後ろの席で座っているだけの洋ちゃんは、車の中で座っているだけなのに少し飽きてきていた。それに、朝が早かったので、お腹も空いてきた。
「なんか、お昼をどこかで食べていくか」
そんな時ちょうど、お父さんが洋ちゃんに聞いてきた。
「うん、少しお腹も減ってきた」
「蕎麦とかでも良いか?」
洋ちゃんは、お父さんに頷いた。
ちょうど、道の脇に蕎麦屋が出てきたのだった。お父さんは、蕎麦屋の駐車場に車を入れると、店内に入った。
「何にするか」
「どうしましょうね、お母さんは、この盛りそばでいいわ」
メニューを眺めながら、お母さんが言った。
「洋ちゃんは、どうする?」
「え、そうだね」
洋ちゃんは、メニューを覗きながら考えていた。
「お父さんは、ほうとうにしようかな。ほうとうは、山梨の名物なんだぞ」
「そうなの?ほうとうって何」
洋ちゃんは、メニューの中のほうとうを見て、お父さんに聞いた。
「うどんみたいな感じだけど、うどんよりも太い麺なんだ」
「俺も、それにしてみる」
お父さんは、店員を呼ぶと、
「盛りそば一つと、ほうとうを二つ」
注文を終えた。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など
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