ジュニアヨット教室物語57
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「再来週の三連休は何か予定があるのか?」
水曜日、会社から帰ってくると、リビングにいた洋ちゃんに、お父さんは声をかけた。
「いys、別に」
「何も予定はないのか」
「まあ、たぶんサッカー部の練習をしに学校へ行くかもしれないけど」
洋ちゃんは、お父さんに答えた。
「それじゃ、山梨県の山中湖に行こうか」
「山中湖?」
洋ちゃんは、お父さんに聞き返した。
「ああ、山梨県は富士山に近いから、富士山とかもすぐ近くに見えるぞ」
お父さんは、洋ちゃんに言った。
「今年のお正月は、富士山もぜんぜん見ていないだろう」
「まあ、東京のおじいちゃんの家からじゃ富士山なんか見えないし、見ていないけど」
「富士山は毎年1回ぐらいは見ておいた方が縁起も良いだろう」
全く信じ深くないお父さんが珍しいことを告げた。
「山中湖でも、ヨットに乗ることができるんだ」
お父さんは、洋ちゃんに説明した。
「あ、そうだ。日曜はヨット教室があるよ」
洋ちゃんは、思い出したようにお父さんに伝えた。
「三連休ぐらいは、別にヨット教室はお休みしたって良いだろうが」
「そうなの?」
洋ちゃんは、お母さんの方を見ながら、お父さんに答えた。
「別にヨット教室は学校の授業では無いのだから、用事があるときはお休みしても良いのよ」
お母さんは、洋ちゃんに話した。
「だって、1年間はちゃんとヨット教室に通わないとダメって言っていたじゃん」
「それは、健ちゃんの話でしょう」
お母さんは、洋ちゃんに答えた。
「あなたは、別に医大受験用の予備校に通うわけじゃないんでしょう」
「まあね」
「別に、医大受験するから、予備校に通いたいって言うなら、ヨット教室に1年間通わなくても、お母さんは通わせてあげるけど」
お母さんは、勉強嫌いの洋ちゃんにいった。
「いや、俺が医大受験なんてぜったい無理だから。ぜったい合格できないし」
洋ちゃんは苦笑した。
「じゃ、再来週の連休は山中湖に行こう!」
お父さんは、洋ちゃんに命じた。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など
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