「洋ちゃーん!」
日曜日の朝、健ちゃんが、ヨット教室へ一緒に行こうと迎えに来た。
「おはよう!」
いつも、何度か呼ばないと起きてこない洋ちゃんが、1回で起きて来た。
「あれ、珍しい。1回で出て来た」
健ちゃんは、思わず呟いてしまっていた。
「ハハハ、洋ちゃん、いつも起きてこないんだ」
松田は、それを聞いて笑ってしまっていた。
「うるさいな、ちょっと朝が苦手なだけだよ」
洋ちゃんは、笑っている松田に言った。
「今日から松田くんもヨット教室へ一緒に通うことになったのよ」
洋ちゃんのお母さんが出て来て、健ちゃんに話した。
「はい、聞いています。昨日は、誘って頂いたのに泊りに来れなくてすみません」
健ちゃんは、礼儀正しくお母さんに挨拶していた。
「いいのよ、それは無理よね。夜とかは、普通なら学生としてちゃんとお勉強している時間ですものね」
お母さんは、洋ちゃんの方をチラ見しながら、健ちゃんに答えた。
いつも、勉強よりも遊びを優先している洋ちゃんは、お母さんに目の敵にされている。
「行って来まーす」
「はい、行ってらっしゃい」
勉強では、目の敵にしているお母さんだが、それ以外では洋ちゃんに優しい。
「どうやって行くの?」
あまり横浜に馴染みのない松田は、洋ちゃんに質問した。
「根岸線って青い電車に横浜駅から乗れば、数駅で最寄りの根岸駅に着いちゃうよ」
横浜駅で待っていると、やって来た蒼井電車に乗った。
「これって、京浜東北線じゃん」
「ですよね、京浜東北線は松田くんの埼玉、大宮から来ている電車ですものね」
健ちゃんが、松田に言った。
「そうか、根岸線って埼玉の大宮から来ている電車ですものね」
洋ちゃんは、青い電車に乗りながら、松田に答えた。
「根岸線って、これ京浜東北線じゃん」
松田は、洋ちゃんに答えたが、横浜の人にとっては、この青い電車は、京浜東北線ではなく根岸線と呼んでいる人の方が遥かに多かった。
電車は、横浜といえば、よく聞く名前の関内駅や石川町駅を通り過ぎると、山手駅で、根岸駅へと着いてしまっていた。
「松田、着いたから降りるよ」
「なんだ、ここの駅なんだ。だったら、別に来週からは、洋ちゃんの家に前日から泊まらなくても、大宮からこの電車で1本で来れるよ」
松田は、洋ちゃんたちに話した。
「良いんじゃない。今から駅を出たら、横浜のマリーナまで歩いて行くから、行き方の道をしっかり覚えておけば、来週から自分1人でも家から通えるよ」
「ああ、そうする」
松田は、洋ちゃんに答えた。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など
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