ジュニアヨット教室物語46
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「で、今度の日曜は横浜へヨットに乗りに行くよ」
松田は、お母さんに話していた。
「え、なんの話をしているの」
お母さんは、顔を上げて松田のことを見た。
「え、だから横浜でやっているヨット教室のこと」
「ヨット教室?」
お母さんは答えた。
「ほら、洋ちゃんが横浜でヨット教室をやっている・・」
「あ、なんかそうらしいわね」
やっと、お母さんは思い出したようだった。
「そこに、俺も洋ちゃんと一緒に通うでしょう」
「あなたがヨット教室に通うの?あれ、横浜でしょう。遠いじゃないの」
お母さんは、松田に答えた。
「だから、前日の夜から洋ちゃんの家に泊まって、ヨット教室に行くって」
「そうなの?」
お母さんは、そんな話は初耳みたいな感じだった。
「洋ちゃんのお母さんから電話で聞いていないの?」
「洋ちゃんがヨット教室に通っているって話は聞いていたわよ」
「うん。で、俺も通いたいって言ったら、お母さんが通っても良いって言ったって」
「そんなこと言っていないわよ。洋ちゃんがヨット教室に通っているって言うから、あら、それは良いわねって話を、洋ちゃんのお母さんと話したわよ」
お母さんは、松田に話した。
「だいたい、あなたは学校の勉強とかあるじゃないの」
「学校の勉強は、他の曜日に通っているじゃん。ヨットは日曜日だよ。日曜は学校無いでしょう」
「日曜はお休みでも、月曜には学校あるんだし、それまでの分を復習したり、月曜からの分を予習したりやることはいくらでもあるでしょう」
「そうだけどさ」
「あなたのお姉ちゃんなんか、学校の日は学校の勉強して、土日は土日で学校以外の予備校にも通って勉強をしても、大学に合格できなかったのよ」
「まあ、そうだね」
「あなたなんて、お姉ちゃんよりも勉強できないのに、そんなところ行っている余裕あるの」
お母さんは、松田にグチグチ言っていた。
「でも、洋ちゃんには、ヨット教室へ一緒に行こうって話してしまったよ」
松田は、お母さんに説明した。
「それに、洋ちゃんも、俺が彼の家に前日から泊りに行くって思っているし、洋ちゃんのお母さんも、俺が洋ちゃんの家に泊りに行くって思っているよ。約束しちゃったもの」
「そうね」
お母さんは、松田のことを見た。
「ヨット教室なんて、なかなか埼玉にいたら体験できることでもないから、せっかくだから通っても良いわとは、洋ちゃんのお母さんとは話したけど・・」
「お母さんだって、洋ちゃんのお母さんとも話しているじゃん」
「でも、ちゃんと学校の勉強もちゃんとやるって言う条件付きよ」
お母さんは、松田に迫った。
「勉強はするよ、ちゃんとしているし」
「わかったわ。それじゃ、ヨット教室に通っても良いけど、もし学校の勉強の成績が下がったら、すぐヨット教室に通うのも無しで、やめてもらうわよ」
「ああ、わかったよ」
松田は、お母さんと約束させられてしまっていた。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など
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