ジュニアヨット教室物語42
Photo by Yuka Tanaka on Unsplash
「そろそろ着替えますか」
横浜根岸の米軍住宅地のあるところまで横浜市営バスでやって来ると、洋ちゃんは2人に言った。
「そこら辺で着替えようか」
米軍住宅地の木々が植わった公園みたいなところがあったので、そこで3人は着替えた。
「これ、こっちの向きで良いのですか?」
軍服なんてあまり着慣れていない洋ちゃんと松田は、大宮先輩に着用を手伝ってもらっていた。
「よし、いい感じじゃん」
着替え終わった3人は、軍服姿で米軍住宅地の住宅を1軒ずつ周った。
ピンポーン!
「トリックオアトリート!」
住宅のベルを鳴らすと、住人に向かって声をかける。
「ワオ!GIジョー」
3人の軍服姿を見ると、どの家の住民も大げさに驚いてくれて、3人の持っている紙袋の中にお菓子を入れてくれた。
他のアメリカ人の子供や根岸の近所に住む日本人の子供も、皆それぞれに仮装して住宅を周っていたが、3人の軍服姿は誰よりも評判が良かった。
「やっぱ、米軍の家だし、俺らの仮装が1番評判良くないですか」
「確かに、皆喜んでくれますよね」
松田たちも、嬉しそうに話していた。
1時間、1時間半もあっちこっちの家を周ると、3人の紙袋はお菓子でいっぱいになっていた。
「そろそろ帰りますか」
「もうお菓子もいっぱいですしね」
また米軍住宅地の入り口付近にあった公園みたいなところで元の姿に着替えると、帰路についた。
「もうバスの時間があまり無いですよ」
行きは、渋谷から東横線で横浜駅に着くと、そこから横浜市営バスできたが、帰りは、少し歩いて、横浜市営地下鉄のブルーラインで帰ることにした。
「松田は、俺の家に泊まって行くだろう」
地下鉄が横浜駅に到着すると、大宮先輩は東横線で渋谷に戻る。2人は、洋ちゃんの家まで歩いて帰り、今晩は松田も一緒に泊まって行く。
「紙袋、俺らの分は、来週明けに学校に持って行きますよ」
2人は大宮先輩に話したが、
「いいや、大丈夫大丈夫。3つぐらい持って帰れるから」
大宮先輩は、紙袋3つとも抱えて東横線に乗ると、帰宅してしまった。
「俺らも帰りますか」
「俺も、洋ちゃんの家って行くの初めてだよ」
「大丈夫、道案内しますよ」
洋ちゃんは、松田と一緒に横浜駅から家に向かって歩いていた。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など
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