「あんた、学校大丈夫なの?もうそろそろ出ないと遅刻じゃない」
洋ちゃんの食べ終わった朝ごはんの片付けをしていたお母さんが、洋ちゃんに聞いた。
「ギリギリかも。行ってきまーす」
洋ちゃんは、学校行く時のバッグを抱えると、玄関jから飛び出した。
健ちゃんは、家からすぐ近所の公立中学校に通っているので、こんなに朝早くに起きる必要はなかった。
洋ちゃんは、東京の渋谷にある私立の中学校に通っているので、授業に間に合うために朝早くに出かけなければならなかった。
横浜駅というか、横浜駅とは反対側の反町駅に降りて、そこから東横線で渋谷駅を目指す。
「朝、早いよな。通学は辛いよな」
朝の電車の中では、そう思いながらいやいや通学している洋ちゃんだったが、学校に着くと、朝が早かった通学のことは忘れて、友達と一緒にお喋りや遊びに夢中になっていた。
もちろん、たまには友達との勉強にも夢中にはなっていた。
「お前の家は、横浜だから遠いよな」
「そんなでもないよ。特急や急行に乗ってしまえばすぐよ」
特急、急行の停まらない反町駅から来ている洋ちゃんは、友達に話した。
渋谷にある中学校だから、生徒も皆、都内から通っている子が殆どかと思いがちだが、実際は、洋ちゃんのように都外、近隣の他県から通っている生徒も多かった。
「おはよう、松田」
洋ちゃんは、遅刻ぎりぎりに登校してきた松田に挨拶した。
「おはよう」
松田は、欠伸しながら洋ちゃんに答えた。
松田の家は、埼玉県の川越だ。そこから毎日、電車の乗って渋谷まで通っていた。
「眠そうじゃん」
「そんなことないよ。副都心線の川越発の電車に乗れるから、朝は渋谷までずっと座って、寝ながら学校までこれるから楽なものよ」
「ずっと寝ているんだ」
「そう、だから余計に眠くて・・」
松田は、また大きな欠伸を何度もしながら、洋ちゃんに返事した。
松田とは、この中学校に入学してから知り合ったのだが、お互いの話がよく合って、クラスメートの中で一番の仲良しになっていた。
「金曜日は、あの後遅くまでサッカーしていたの?」
松田は、洋ちゃんに聞いた。
「していたよ、ずっと先輩にしごかれていたよ」
洋ちゃんは、松田に苦笑していた。
「サッカー部は、練習とかきつそうだよな。その点、バレー部は気軽で楽よ」
バレーボール部の松田は、サッカー部の洋ちゃんに答えた。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など
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