ジュニアヨット教室物語33
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「おーい、そろそろ始めるぞ!」
プールサイドで大騒ぎしていた佐々木たちに、片桐一郎は大声で声をかけると、生徒たちの待っているクラブハウスの中に入った。
「はーい、今週もヨット教室を始めます!」
「はーい」
クラブハウスの中で、ヨット教室が始まるのを待っていた生徒たちが返事した。
「先週、ヨットに乗った時のことは、ちゃんと覚えているか?」
「はーい!」
武井が元気よく答えた。
「本当か、乗り方ちゃんと覚えているのか?」
「覚えていますよ。まだ1週間しか経っていないじゃないですか」
武井は、片桐先生に答えた。
「それでは、率先して、乗り方忘れちゃったという人にも、教えてやってくれよな」
片桐一郎は、武井に言った。
「それじゃ、また艇庫からヨットを出して、マストやセイルを艤装してから海に出ましょう」
片桐一郎の合図で、生徒たちは皆、クラブハウスから艇庫へと移動した。
「はい、2人1組で船体を持って、表の広いところに出そう」
片桐一郎は、生徒たちを指導していた。
「由佳ちゃん、そっち側を持ってよ」
愛菜は、妹の由香に船の後ろ側を持つように指示していた。
「俺も、一緒に持とうか」
船の前側を持っている愛菜に対して、後ろ側を1人で持とうとしていた体の小さい由香に、洋ちゃんは手伝おうと聞いていた。
「お願い」
由佳は、手伝ってくれようとしている洋ちゃんにお願いしたが、
「いらないです。由香が1人で持てますから」
気が強い姉の愛菜が、洋ちゃんに断った。
「いらないんだ」
洋ちゃんは手伝えずに、船の前方を持っている姉の愛菜と一緒に、後ろ側を1人で必死に抱えている由香だったが、重くて辛そうだった。
「やっぱ一緒に持ちますよ」
洋ちゃんが、由香の横で一緒に持ち上げると、由佳は助かったとばかりに嬉しそうだったのに、洋ちゃんは、愛菜に大声で怒られてしまっていた。
「あの、後ろ側は由佳1人で持てるので余計なことしないでください!自分の船だけ運んでいて!」
「はいはい、ごめんなさい」
なぜか怒られた洋ちゃんは、愛菜由佳の姉妹を手伝うのは諦めて、2人から離れていた。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など
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