ジュニアヨット教室物語32
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「おはよう!」
健ちゃん、武井と一緒に歩いて来た洋ちゃんは、横浜のマリーナ前のゲートで、他のヨット教室の生徒たちとも一緒になって、大声で元気よく挨拶していた。
先週は、初日で健ちゃん以外には、知っている子たちがいなくて、誰とも声を掛けられなかったが、今週は皆、割と知った子たちが増えたので、仲良くなれていた。
「洋ちゃんー!」
「おおー」
横浜のマリーナ、プールサイドで何人かの生徒たちとたちとお喋りしていた佐々木たちが、洋ちゃんに大声で声を掛けてきた。
「土曜のガンダム見た?」
「見た!見た!」
洋ちゃんは、先週知り合ったばかりの佐々木たちと、もう仲良くお喋りに加わっていた。
「健ちゃんは?」
「え、見てない」
「見ていないんだ。けっこう昨日のガンダムは肝になるストーリーだったですよ」
「そうなんですね」
ガンダムなんて全く見ていない健ちゃんだったが、佐々木たちに頷いていた。
いつも学校なんかだと、一緒に通学してきたクラスメートが他の子たちとお喋りし始めると、自分だけ、自分の席に行って、そこで学校の勉強や塾の復習などの勉強をしていた健ちゃんだったが、今日は自分だけクラブハウスに入ってしまうことはなく、洋ちゃんと一緒にいた。
片桐一郎が、助手席に座っている息子の二郎と車でやって来た。
「お父さん、車を駐車場に停めてから行くから、おまえ先に行っていていいぞ」
片桐二郎は、車から降りると佐々木たちのいるプールサイドに行った。
「おはよう!」
息子を正門ゲート前で降ろした片桐一郎は、そのまま車を移動して、駐車場へ向かった。
「おはよう!」
「あ、おはようございます」
今井隆は、車を停めて降りて来た片桐一郎に挨拶した。
「相変わらず、ラッコさんは女性クルーばかり多いね」
片桐一郎は、麻美子や陽子たちと一緒に歩いていた隆を羨ましそうに言った。
「ええ、虐げられています」
隆は、片桐一郎に苦笑していた。
「今日は、八郎丸さんはどうするんですか?」
「八郎丸は今日どうするんだろうね。俺は、ヨット教室があるから乗らないけど」
「ああ、ヨット教室って、例の子供のヨット教室」
「ええ」
「どうでしたか?先週が初日だったんでしょう」
「ええ、大成功でしたよ。皆、元気に乗っていましたよ」
「それは良かったです」
片桐一郎は、子供達が待っているクラブハウスの中に入っていった。隆たちは、自分たちのラッコのヨットが置いてあるところに移動した。
「ヨット教室って、香織ちゃんたちの出たヨット教室じゃなくて、今年から子供たち対象でやっているっていうヨット教室のことでしょう」
「そうだね」
隆は、麻美子に答えた。
「1回参加してみたいな」
「参加って?生徒は子供だけだよ」
「知ってるわよ。小学生の子たちが小さいヨットに乗っているんでしょう、教えるの可愛いじゃない」
麻美子は、隆に言った。
「教えるって、香代ならともかく麻美子はヨットのことなんて人に教えられるほど知らないじゃん」
「相手が子供ならば、さすがに教えられることあるわよ」
麻美子は、隆の頭を小突いた。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など
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