ジュニアヨット教室物語30
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「明日は、あんたもヨット教室でしょう」
お母さんは、洋ちゃんに聞いた。
「そうだね」
「健ちゃんがヨット教室に来ない方が良いとか言わないで、普段はあまりアウトドアに出ない子だからこそ、アウトドア派のあんたがリードして、楽しめるようにしてあげるのよ」
明日は、ヨット教室2週目の日曜日だった。
「わかってるよ」
洋ちゃんは、お母さんに答えた。
「先週だって、健ちゃんとずっと一緒の同じヨットに乗ってたんだから」
洋ちゃんは、お母さんに返事した。
「そうなの。昨日、健ちゃんのお母さんとダイオースーパーで会ったんだけど・・」
お母さんが言った。
「先週は、知らない人ではなくて、あんたとずっと一緒にヨット乗れたから安心できたらしいわよ」
「でしょう!仲良くやってたんだから」
洋ちゃんは、お母さんに鼻高々と話した。
ダイオースーパーは、洋ちゃん家の近く、反町駅にある小さなスーパーのことだ。ここら辺に住んでいるお母さんたちは、よくこの小さなスーパー利用していた。
「健ちゃんと一緒に乗っていると、頭良いからレースのスタート時とかのカウントダウンとか頭の使うことは、ぜんぶ健ちゃんがカバーしてるから助かるんだ」
洋ちゃんは、お母さんに説明した。
「で、なあに。あなたは、頭の使うことをぜんぶ健ちゃんにお願いしちゃっているの?」
「え、その代わりに、俺はヨットの操船とか体を使うことをやっているの」
「そう」
「役割分担だよ、適材適所っていうやつ」
洋ちゃんは、2人で上手くやれているんだということをちょっと自慢してるつもりで話していたのだが、お母さんは、体力バカでいるのではなく自分でも頭も使いなさいよと思っていた。
「レースっていうのは、全国規模かなんかで競い合ったりするの?」
「え、わからないよ」
洋ちゃんは答えた。
「ヨット教室の仲間内だけでレースするだけでしょう。ヨットってマイナーなスポーツだから、全国規模でなんかヨットレースしていないよ、きっと」
「そうなのね」
お母さんは、洋ちゃんに答えた。
「全国規模でやっていて、地方にレースの遠征に行くなんてことあったのなら、お母さん喜んで、車にヨットを積んで、どこでも連れて行ってあげるわよ」
「そんな全国規模のレースなんてないよ」
「あら、そうなの」
「うん、まだ先週から始めたばかりだし、わからないけど多分無いと思うよ」
洋ちゃんは、お母さんに答えた。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など
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