ジュニアヨット教室物語18
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「これから、お昼ごはんにします!」
片桐一郎は、クラブハウスに戻ってきた生徒たちに話した。
「お昼は、ここのクラブハウスのテーブルで食べても良いですし、建物の外の、表のベンチやテーブルで食べても良いですよ」
生徒たちは、お弁当を持って来ていた。
「午後は、1時半からになります!1時半になったら、ここに集まってください」
片桐一郎は、お喋りをしている生徒たちよりも大きな声で話していた。
「どこで、お昼を食べる?」
「あそこのテーブル席が空いていますよ」
健ちゃんは、クラブハウス奥のテーブルに空きを見つけて、洋ちゃんに言った。
「それじゃ、あそこにしようか」
アウトドア派の洋ちゃんは、本当はプール脇に置かれているテーブルにでも座って、外でお弁当を食べたかったが、健ちゃんが中で食べるというので、中で食べていた。
「いただきまーす!」
朝、お母さんが作ってくれたお弁当だった。
「やっぱ、健ちゃんのお母さんってすごいな、日曜日でも、お米のお弁当を作ってくれるんだ」
「うちなんか、楽だからってサンドウィッチですよ」
洋ちゃんは、健ちゃんのお弁当を覗き込みながら、言った。
「うちは、日曜日でも姉きが部活でお弁当いるから」
「美樹ちゃんだ」
洋ちゃんは、健ちゃんに聞いた。
「ええ」
「美樹ちゃんって、何の部活をしているの?」
美樹ちゃんは、健ちゃんの2歳上のお姉さんだった。洋ちゃんも、小さい頃は美樹ちゃんともよく近所の公園で鬼ごっことかしていた。
「バレー部」
「バレー部なんだ」
「バレエ部じゃないですよ、バレーボールのバレー部ですよ」
「バレー部でしょう、知ってる」
洋ちゃんは、健ちゃんに返事した。
「え、俺、いまバレエ部って発音していた?」
「え、いや、なんかバレエって思っているかなと思ったもので」
「いやいや、バレー部だと思っていたよ。だいたい、美樹ちゃんはバレエ部って柄じゃないじゃん」
洋ちゃんは、健ちゃんに笑った。
小さい頃から健ちゃんはインドアだったけど、美樹ちゃんの方が元気で活発な性格だったため、洋ちゃんはどちらかというと、健ちゃんより美樹ちゃんと遊んでいることの方が多かった。
「そういえばさ、美樹ちゃんはヨット教室に通わなかったんだ」
「最初、お母さんも、姉きのことを誘っていたんだけど、姉きは、今は学校のバレーボールに夢中だから、ヨットなんて乗っている暇がないらしい」
「そうなんだ」
洋ちゃんは、美樹ちゃんが乗りに来ないのは少し残念に思っていた。
「兄弟がいて良いよね」
一人っ子の洋ちゃんは、健ちゃんに話した。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など
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