クルージングヨット教室物語137
Photo by Genri Kura on Unsplash
「おはよう!」
1月、2月は寒いので、横浜のマリーナにヨットを置いているヨットも、殆どがあまり出航していないのだったが、ラッコのメンバーは成人の日のお休みも、マリーナに集まって来ていた。
「皆、ここに集まって来ているけど、うちって誰も成人式の人はいないのよね」
麻美子が言った。
「香代がいるじゃん」
「香代ちゃんは、成人式じゃないわよね」
「違うよ、21だもん」
香代は、麻美子に返事した。
「一番年下の香代で、21だったら、うちって誰も成人式はいないじゃん」
隆が、麻美子に言った。
「そうね」
皆は、船台の上に置かれているラッコのデッキに上がると、そのままキャビンの入り口の扉を開けて、キャビンの中に吸い込まれるように入った。
「暖かい!」
「暖房をつけようか」
麻美子が、船内の暖房設備のスイッチを入れた。
「暖房がついていなくても、キャビンの中が暖かったよね」
「うん!暖かった!」
陽子と瑠璃子が話していた。
「あれ、今日って出航するんじゃなかったっけ」
隆が、香織に言った。
「そう。出航するって言っていたのに、ついついキャビンの中が暖かいし、お喋りしているとヨットを出すこと忘れちゃうね」
「もう出すのやめて、今日はキャビンでのんびりお喋りして過ごす?」
麻美子が、皆に聞いた。
「でも、何も出さないっていうのも、なんか少しぐらい海に出したくない」
雪が答えた。
「じゃ、パイロットハウスの中で操船して、海に出そうか」
隆が、雪に言った。
「え、ずっとここで操船するの!?」
「でも、それなら寒くないし、お喋りもできるから良いかも」
「ヨットじゃなくて、まるでモーターボートだね」
香織が、笑顔で答えた。
「パイロットハウスで操船するにしても、マリーナの人にクレーンで船を下ろしてもらっている間は、面で待っていなければならないんだけどな」
「そのぐらいだったら良いよ」
陽子は、隆に答えた。
そして、皆は一旦ラッコを降りて、マリーナの職員にクレーンで下ろしてもらった。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など
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