「あそこまで登るのは嫌だな」
中村さんは、山の上の方に見えている館山城の屋根を見上げて、ため息をついていた。
「しかも皆、若いから歩くの速いのよね」
麻美子も、前を行く皆を眺めて、中村さんに話を合わせていた。
「隆ー!」
1番先頭を歩いていた隆のことを大声で読んだ。
「早くぅー、待っているよ」
隆が、後ろを振り返って、麻美子に声をかけた。その場で止まって、麻美子が来るのを待っていた。
「こっち!」
麻美子も、前には進まずに、隆のことを手招きして呼び戻していた。
「何、どうしたの?」
仕方なく、隆と陽子が戻って来た。
「私たち、ここの公園でのんびりして待っているよ。だから、お城まで行って来て」
麻美子jは、戻って来た隆と陽子に言った。
「なんで、足した距離じゃないよ。お城まで」
「健脚の人だけで行って来て」
麻美子に言われて、隆たちだけで館山城まで行って来ることになった。
「あそこにお風呂屋さんあるから」
隆は、お城に向かって歩きながら、道路の反対側にあるお風呂屋さんを指差して、麻美子に教えた。
「それじゃ、私たち先にお風呂へ行ってから、ヨットに戻っているよ」
麻美子は、隆に返事した。
それから、隆たちは歩いて館山城まで行くと、お城の中へ入ってみることになった。
「俺、そういえばお財布持って来てない」
隆が、陽子に言った。
「お財布、先にお風呂やさんに行ってしまったものね」
「私、お財布あるから大丈夫よ」
「後で、ヨットに戻ったら、麻美子からお金返してもらってね」
隆は、香織に代わりにお城の入場券を買ってもらっていた。
「もう、麻美子はいないね」
お城を見終わって、帰り道のお風呂屋さんにやって来たが、麻美子の姿は無かった。
「アイス食べる?」
「食べる!」
お財布の無い隆は、ここでも香織にアイスをご馳走になっていた。
「お風呂、気持ち良かったよ」
「良かったわね」
隆が、麻美子に報告すると、笑顔で返事をしてくれた。
「そういえば、お金はどうした?持っていたの?」
「持ってないから、香織ちゃんに払ってもらってしまった」
「やだ、もう」
麻美子は、お財布を持って、香織のところに行くと、出してもらったお金を払っていた。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など