クルージングヨット教室物語84
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房総を南下していき、富浦の岬を越えたら左折、館山湾の一番奥に館山の港はあった。
「漁港なのに、すごいたくさんヨットも停泊しているね」
「千葉のこの辺のヨットマンは、この港に自分のヨットを泊めているからね」
隆は、陽子に答えた。
「この港は、船の数に対して狭いんだよな」
隆は、地元のヨットが停泊している隙間に、ラッコも停泊させてもらった。隙間が狭すぎて、横にはアクエリアスを泊められないので、岸壁の少し奥の方にアクエリアスは泊めることになってしまった。
「お疲れ」
岸壁の奥に泊めたアクエリアスの面々がラッコにやって来た。
「アクエリアスの泊めたところからだと、街に出るのに少し遠いですかね」
隆が、中村さんに言った。
「もう、こっちで皆、泊まってしまおうか」
中村さんが、隆に返事した。
「それが良いかもね」
「私、荷物をぜんぶこっちに置いてあるから、こっちで泊まっても大丈夫」
麻美子に言われて、香織が嬉しそうに答えていた。
「っていうか、中村さんのところ3人だけでしょう。アクエリアスを出す必要なかったかもしれないな」
「そうだな」
中村さんは、隆の意見に賛成していた。
「って、どういうこと?」
「アクエリアスを出さないで、ラッコだけで皆、乗って来てしまえば良かった」
「あ、そうか。それでも良かったんだ」
麻美子は、隆に言われて納得していた。
隆がラッコでクルージングに行きたいように、中村さんも、自分のアクエリアスでクルージングに出たいのかと思ってたら、中村さんも全然そんなこだわりは無いようだった。
「俺だって、別にラッコで出たいってこだわりは無いから、ラッコは横浜のマリーナに置いておいて、アクエリアス1艇で館山まで来ても良かったんだけどな」
「でも、1艇で全員の寝れる場所あるの?」
「あるさ。メインサロンのテーブルも下がるし、下がればダブルバースに変わるし」
隆は、パイロットハウスのテーブル下げてみせた。
「館山城でも行ってみるか」
ラッコとアクエリアスのメンバーは、港から館山城まで歩いてみることになった。
「帰りに、どこかで、お風呂屋さんがあったら入浴していこう」
お風呂セットだけバッグに入れてのお散歩となった。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など