【SAPコンサルブログ~SCM業務 KT編①~】サプライチェーンのイレギュラーパターン。仕入先直送の紹介。
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目次
1.はじめに:サプライチェーンとは
2.物流と商流のイレギュラーパターン
(1)通常パターン
(2)イレギュラーパターン:仕入先直送
※タイトルの補足※
KT:Knowledge transfer(知識共有とか)の略で、コンサル業界ではよくつかわれています。
タイトルを短くしたいがために使用したことをお許しください。
1.はじめに:サプライチェーンとは
サプライチェーンとは、原材料の調達から、製品が最終的に消費者に届くまでの一連の流れのことを指します。
モノの流れ(物流)、お金の流れ(商流)、そしてそれらを支える情報の流れを含めて、
企業活動を全体的にとらえる考え方です。
上記は、ChatGPTの回答ですが、サプライチェーンは企業のビジネスプロセスを理解するうえで不可欠な要素です。
特に、実態のある製品(IT・情報系ではないモノ)を製造・販売している企業においては、
・その製品がどこに何個あるのか
・売買によって発生したお金の流れがどうなっているか
を正確に把握・管理することは、事業運営上の絶対条件です。
こうしたサプライチェーンの基本構造は、私たちの日常の買い物ともつながっています。
お店で商品を選び、お金を払い、モノを受け取る。
これは「モノとお金の流れ」がセットになった典型的なパターンです。
企業間の取引においても、基本的には同じく「モノとお金が一緒に動く」形が一般的です。
ただし、すべての取引がそうとは限りません。
ビジネスの現場では、ときに通常とは異なる“イレギュラーな流れ”が生じる場合もあります。
次に紹介するのは、そのような例外的なサプライチェーンのパターンです。
2.物流と商流のイレギュラーパターン
(1)通常パターン
先ほども触れましたが、モノ(製品)とお金は売買の際にセットで動くのが一般的です。
では、ここで一つ質問です。
今、あなたが着ている服はどこで購入し、どこに代金を支払ったでしょうか。
たとえば店舗で服を買う場合を考えてみてください。
商品を選び、その場で代金を払い、そのまま商品を持ち帰る。これが通常の流れです。
つまりその場で「モノ」と「お金」を同時に交換している(物流=商流)ということです。
※クレジットカードなどの後払いも、便宜上「その場で支払った」と考えます。
企業間取引においても基本的には同じ仕組みです。
ではこれから、この通常パターンとは異なる「イレギュラーパターン」を見ていきましょう。
(2)イレギュラーパターン:仕入先直送
ここからは、モノとお金が同時に動かないケース「仕入先直送」について説明します。
言葉のとおり、仕入先直送とは製品が仕入先から直接、最終顧客(消費者)に届けられる仕組みです。
お米を例に考えてみましょう。多くの人はスーパーでお米を購入します。
その場合、お米とお金の流れは次のようになります。
- お米の流れ:農家 → スーパー → 私たち
- お金の流れ:私たち → スーパー → 農家
では、仕入先直送の場合はどうでしょうか。
先ほどご説明した通り、製品が仕入先から直接、顧客に届くため、
- モノの流れ:農家 → 私たち
- お金の流れ:私たち → スーパー → 農家
となります。
お金の流れ自体は通常パターンと変わりません。
つまり、実質的には「スーパーからお米を購入している」状態になります!
違いは、物流(モノの流れ)がショートカットされている点です。
商流(お金の流れ)は変わらない一方で、物流だけが直接ルートになる。
これが仕入先直送の特徴です。
イメージ図
では、仕入先直送にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
農家とスーパー、それぞれの立場から考えてみましょう。
【スーパーのメリット】
- 物流コストの削減:農家から直接、消費者へ配送されるため、自社での輸送コストが不要となり、販売価格を抑えやすくなります。
- 鮮度の向上:消費者に直接届けられることで、より新鮮な状態で提供できます。
- 管理コストの削減:在庫を抱える必要がなく、在庫リスクや廃棄ロスを軽減できます。
【農家のメリット】
- 中間マージンの削減:スーパーを介さないため、その分収益率を高められます。
- 販路の安定確保:スーパーの販売網を通じて消費者に届くため、自ら販路を開拓する負担が減ります。
- 需要把握の容易化:スーパーからの直接的なフィードバックにより、消費者ニーズに沿った生産計画が立てやすくなります。
今回はお米を例にご紹介しましたが、製品や取引形態によってメリットの捉え方はさまざまです。
身近な商品やご自身の業務に当てはめて考えてみると、新たな気づきが得られるかもしれません。