「プロ野球選手には自分はなれない」
これは野球を16年間やってきた大学生の自分にとって、とてつもない衝撃でした。
そして同時に悩んだのは、「この先の将来どうしたらいいのだろう」ということです。
もしかしたら、プロとして活躍し怪我などで引退を余儀なくされた選手も同様のことを感じるかもしれません。
なぜなら、プロ入りを目指すレベルで競技に取り組んでいる人、すでにプロとして活躍している選手は、本当の意味で「その競技しかしていない」ことが多いからです。
少なくとも私はそうでした。
私の場合は、高校・大学への進学は野球推薦でしたし、勉強ができたわけではないのです。そして朝から晩まで野球漬けなので、プロになる以外の人生設計を考えたこともありませんでしたし、野球以上の何かに情熱を持てるとも思いませんでした。
ですが、そんな私は今経営者をしています。
悩んでいた私にとって大事だったことは、会社員・フリーランスなどの個人事業主・経営者と「自身の将来を固定せずに動き続けたこと」でした。
私の体験が、今自身の将来について悩んでいるアスリートの方にとって少しでもお力になれたら幸いです。
プロ入りできない…将来をどうしたらいいかわからなくなった学生時代
私は幼少期から大学生までの16年間をすべて野球につぎ込んできた野球小僧でした。
プロフィールを書くとしたら、ほとんどが野球関連の話題で埋まってしまうほどです。父親は野球部の監督、家の前は野球グランドという野球小僧にとってかなり整った環境で、小さいころからプロ野球選手になることが夢でした。
ところが、人生はそう甘くないものです。
大学生の時に、自身の将来を考え直すきっかけがありました。
それは、数年後プロとして活躍することになる後輩が入ってきたことです。圧倒的なレベルの差を目の当たりにして「自分はプロ入りできるレベルではない」ということを嫌というほど体感しました。
実際に野球チームのスカウトマンから声がかかるなどということもなく、私のプロ野球選手になるという夢は終わったのです。
困ったのは「今後どうしよう？」ということでした。
おそらくプロになれなかった多くの学生アスリートが感じる悩みかと思います。もしかしたら、プロを引退する選手も感じているかもしれません。
プロ入りを目指す選手やプロとして活躍する選手は、本当に24時間その競技のことで頭がいっぱいという人が多いはずです。（当時の私はまさにそうでした。）
だからこそ、私はプロ入りしないことが決まった時点で自分の将来設計が0に戻ってしまったような感覚になりました。
そして、次に感じたのは「野球のように情熱を注げることが見つかるのだろうか？」という不安でした。
考えるのが苦手な私が何とか振り絞って見つけた次の夢は「友人と一緒に仕事をする」というものでした。一緒に野球をしているチームメンバーのことはとても好きでしたし、将来彼らと一緒に仕事ができたら楽しいなと思ったのです。
一緒に仕事をするには、仕事をとってこれる営業が必要です。
だから私は営業職を志すことに決めました。
夢が曖昧なままスタートした営業時代、道を決めたのは野球部時代に感じていた「思い」
「友人と一緒に仕事するには営業が必要だろう」
そんな思いで就職した会社での営業成績は、はじめは散々でした。ビジネスメールもうまく作れず、下から数えたほうが早い成績。
ですが、元々野球で「成果を出すことにこだわっていたこと」や「とにかく愚直に努力すること」には慣れていたので、とにもかくにもやり続けました。
営業成績1位の先輩に普段何をしているのかを聞いてみたり、営業先で出会った社長に言われたことをやってみたり。
社長さんから言われたことで、自分の人生を変えたなと感じるものがあります。
それは「本を読む」ということでした。
「田中君は物を知らなすぎる、まずは本を読んで世の中のことを知りなさい」と言っていただきました。当時23歳でしたが、読書は全くしてきていなかったのです。
正直、気乗りはしませんでした。国語の時間も睡魔が襲ってくるような自分でしたから、最初は苦労したのを覚えています。ですが、読書することで世の中の見え方が変わりました。
大きく変わったのは働き方に対する考え方です。
私は当たり前のように会社員として働いていましたが、世の中にはフリーランスみたいな個人事業主、経営者など会社員以外の働き方があることを知りました。
正確に言うと知ってはいたのですが、自分がなれるとは全く思ってなかったので将来のことを考えたときに全く候補に入ってなかったです。
そこからたくさんの本を読み、多くの社長さんと話をする中で、「友人と仕事をする」とはいうものの、なぜそれがしたいのか？に対して、何も具体的な計画がないことに気が付いたのです。
私が野球部のキャプテンだった時代に情熱を燃やしていたのは「自分が卒業した後も常に勝ち続けられる文化を残すこと」でした。
そのために、部訓を10条作ったりもしていました。
ですが、「文化を残すこと」については成し遂げられていなかったことに気が付いたのです。実際に当時の部訓は今の野球部に引き継がれていません。残念ですが仕方のないことです。
友人と仕事をしたいのはもちろんですが、「常に成果を作る文化を持った組織が作りたい」というのが強い思いでした。
チーム作りや文化を作ることは、社会で言えば「会社を創っていくことに近い」と感じました。経営で言うと経営理念にのっとった組織づくりです。
そこから、私は経営者になることを決めました。野球部時代にやっていたことが、形を変えて私の道を示してくれたのです。
そうして道を決めて仕事に取り組み始めるようになってから、営業成績が1位になり、個人で受け始めた新卒研修の仕事が軌道に乗るようになりました。
25歳の時点で新卒研修の仕事をパッケージ化して脱サラし、法人を設立しました。今では大阪でオーダースーツサロンと小売店を経営する経営者として働いています。
このあたりの詳細はnoteもしくはWantedlyの1記事目に記載してますので、興味のある方は是非読んでみてください。
自分の将来は自分で創るもの、働き方を流動的に変えていく
プロ野球選手になる夢が断たれた学生時代にはこんな将来になるなんて全く想像していませんでした。
なんだったら、野球以上に情熱を燃やせるものがないことに悩み、野球以外の将来を考えることに苦労していました。
社会人になってからの私を支えたのは、野球部時代に培った情熱と成果を作ることに対するこだわりでした。
さらによかったことは、多くの社長さんとの出会いや経験、本から得た知識で自分の将来像を広い視野で考えることができたことです。
今でこそ転職やフリーランス、起業する方も増えてきていますが、まだまだ日本では会社員という働き方の方が一般的だと感じます。
もちろん、会社員としてずっと働くこともとても素敵なことですが、「自分がこうなりたい」と思う未来に対して流動的に働き方を変えていく選択肢もあっていいと考えています。
プロを目指していた選手やプロで活躍していた選手には必ず輝き花咲く場所がある。私はそう信じています。
ですが、競技やトレーニングに集中してきたあまり、競技以外の将来設計に苦労される方も多いのではないでしょうか。
私は今、ガチでキャリアを創造したい人（ガチキャリ）のために、SES事業や独立支援といった事業を通して、将来設計のお手伝いをしています。
今後は、スポーツに身を投じ同じ境遇を持つものとして、アスリートの方の将来設計のお役に立つために今も準備を進めています。
また、こういった将来に対する悩みに最初にぶつかるのは学生の就活の時だと考えています。3記事目では、学生の方に対する支援についての考えを書けたらと考えています。
